時事ネタ

コスプレ好きの大将

●11月から行きつけの床屋が10%値上げする。だからというわけではないが、
 ギリギリの今日、床屋に行ってきた。
 まず驚いたのは、大将がいつもと違ってカジュアルシャツにジーンズ姿だ。

「大将どうしたの?値上げするからファッションでもお客を楽しませようという魂胆?」
「いやいや、なに言ってるんですか、武沢さん。今日はハロウィンですよ。この姿は私なり
 の仮装姿だと思ってください」

●「今日はハロウィンなのか」とおどろく私に大将は「武沢さんは今夜、オアシス行かない 
 んですか?」と聞く。名古屋は栄にある「オアシス21」がハロウィンの聖地らしい。

●ただ昨年、梨泰院での大惨事があったせいだろうか、今年「オアシス21」は閉鎖され
 誰も近寄れないそうだ。
 「だから、行っても無駄ですよ」と大将。
 「とんでもない。仮装を楽しむ趣味はないよ」と言ってみたものの、実のところすこし
 興味がある。ただ、今までの人生で仮装に縁がなかっただけのこと。やってみると案外
 楽しそうな気がする。

●大将の話がつづく。
 「先日、家族用のハロウィングッズをドンキで買ってきたところです。
 もともとコスプレの売り場はドンキが充実してますからね」

●どうやら大将は勘違いしているようだ。
 私はハロウィンに関するウンチクを傾けることにした。

 「大将、ハロウィンの由来を知ってる?」
 「西洋版のご先祖様お出迎えのパーティでしょ」
 「ちょっと違うんだな、それが。アメリカに渡ったアイルランド移民のお祭りで、
 毎年10月31日になると悪霊が人間界に表れていたずらをするという宗教的な言い伝え
 から、仮装して身を隠す風習がハロウィンの起源なんだ」
 「え、悪霊から身を隠す?」

●「だからハロウィンで仮装されるものには、幽霊・魔女・ゾンビなど基本的に
 “恐れられているもの“ が選ばれる。そうすることで、悪霊に襲われずに済むからね」

●「しまったー。家族のコスプレはみんなお姫様やお祭りの半被といった可愛らしいもの
 ばかり買っちゃった。これじゃ悪霊に狙われ放題だ」と頭を抱える大将。

せめてメイクだけでも怖めにしていけばいいのでは、と折衷案を出しておいたが、
果たして今夜のハロウィンはどうなるやら。