時事ネタ

「すべらない話」と「すべらない・・・」

「適切なときに、適切な内容を、適切な時間話せること」
それが話し上手の要諦だと説いた江川ひろし先生。
日本話し方センターの創業者であり、私も大変お世話になった方だ。
つまり、話し上手とは世間一般に思われている話術上手なんかではない。
ということは話し下手の定義はこうなる。

「不適切なときに、不適切な内容を、不適切な時間話す人」。

テレビ討論会には自分の意見を主張したい人ばかりが出ているが、あれなどはさしずめ話し下手の品評会である。
コミュニケーションは話し手と聞き手による共同作業である。
話し手だけが悦に入って聞き手が迷惑しているようであればコミュニケーションが成立していないので、壁に向かって一人しゃべりした方が被害者が出なくて済む。

バラエティに出演する人気タレントや芸人をみていると、売れる人と売れない人はすぐ分かる。
売れる人は話し役も聞き役もできる。
話しはうまいのに聞くのは下手だという人は短命に終わる。

がんばれ社長では、朝ミーティングで「すべらない話」を始めた
「今朝電車でこんな人を見かけた」とか、「昨日ネットでこんな動画をみつけた」、「来月アマゾンからこんな新しいガジェットが発売になる」などの話しをする。

一般的な3分スピーチと違って次のようなルールをつくってある

<すべらない話ルール>
1.同じネタの使い回しはしない
2.実際の話をする(空想話はしない)
3.何らかのオチ(結論)をつけて話を終える
4.すべての話題はタメになる話か笑える話に仕上げる

このルールに沿って毎朝「すべらない話」をすると話術の訓練になるだけでなく問題意識をもって日常を過ごすことになる。

最初は「何かおもしろい話題ない?」と私に言われて戸惑っていたスタッフも最近は瞬発力抜群に話し始めることができる。
ある程度できるようになってきたので、今度は新しい企画を準備中だ。
それは「すべらない聞き方」である。

ボケとツッコミがあってお笑いが成立するように、話し手と聞き手の双方の作用があって会話が成立する。
まるで台本があるかのようにテンポ良く会話を進める訓練だ。
リズムをもっとも大切にしていた芸人が島田紳助氏だ。
島田氏は、いきなりネタ作りから始める漫才コンビが多いが、それは間違っているという。

彼はデビュー当時、相方と公園を散歩しながら自分たちの漫才のテンポをつかんだ。
「このリズム、この間だな」というものを二人がしっかり確認してから、そのテンポやリズムに合ったネタをつくりはじめた。

チーム作りはテンポから。
話し手が最高に気持ちよく話せ、聞き手も能動的に会話に参加する。そんなコミュニケーションは「すべらない話し手」と「すべらない聞き手」の合作なのだ。