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ニーオはどっち?

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■企業の不祥事と株価の関係「アイ・アールジャパンの場合」

毎年順調に業績を伸ばしている企業でも一つの不祥事で株価が大暴落することがあります。今回はアイ・アールジャパンの不祥事事件について語ります。
かねてより好業績ぶりに注目していた会社だけに残念でもあります。

ニーオはどっち?

私がiPhone 3Gを買ったり、iPad ProでNetflixの動画を観ていたりするのをみて、弟が首をかしげる。
何しろ弟と私は二歳違いで誕生日が同じ。
顔も体型もよく似ていると言われる。
なのに性格が真反対なのだ。
好奇心いっぱいで新しいもの好きの私と、何事にも慎重で疑ぐり深い弟。
最近になってようやくガラケーからスマホに乗り替えた弟は、その勢いでタブレットも買った。
しかしNetflixやPrimeVideoの会員になるにはカード情報を入力せねばならずまだためらっている。

「イノベーター理論」というものがある。人の消費行動を五つに分けたものだ。

1.イノベーター(革新者)
2.アーリーアダプター(初期採用者)
3.アーリーマジョリティ(前期追随者)
4.レイトマジョリティ(後期追随者)
5.ラガード(遅滞者)

どうやら私は2で、弟は5だと思う。

早くから「テスラ」を乗り回しているような人は間違いなくイノベーターだろう。
「テスラ」はEV市場で現時点でNo.1の会社で株価も急騰した
ただ、市場規模でみれば中国が世界最大の市場でなんと世界中の45%が中国市場なのだそうだ。
その中国が国策として取り組んでいるのが国産EVメーカーの育成。
ガソリン車では世界に追いつけない中国がこの分野に活路を見いだすのは自然の流れともいえる。

そんな中国で「中国版テスラ」と言われる企業があるのをご存知だろうか。
「蔚来集団(ニーオ)」という会社である。
2018年8月に上場したばかりの新興企業だが中国EV市場にあってトップクラスの勢いを誇る会社だ。

今年2月にはスマホ市場に参入すると発表し世間を驚かせた。
伸び盛りのEVメーカーがわざわざレッドオーシャンのスマホ市場に参入するわけだから常識破りだ。
ニーオの顧客からは「まず車をきっちり作ってほしい」という声があがった。
スマホ市場関係者も「きっと難航するだろう」と冷ややかだがどうなることか。

アメリカにもADR上場していることもあって話題に事欠かないニーオだが6月22日、今度は事故を起こしてしまった。
EV車の自動駐車テスト中にビルから転落し乗務員2名が死亡する事故を起こしたのだ。
原因は明らかになっていないが、ソフトウェアの暴走か乗務員の操作ミスと言われている。

さらにはその二日後、またやらかした。
今度は米国の調査会社が「ニーオは収益の水増しをしている」とのレポートを公表したのだ。
それを受けて翌日の香港株式市場でニーオ株は11%以上急落した。
レポートの内容を強く否定している同社だが、テスト中の事故に続く粉飾疑惑と想定外の試練が続く。

こうした試練を糧に強くなる企業がある一方で、試練に耐えきれずダメになっていく会社がある。
ニーオはどっちだろう?