時事ネタ

ネットの誹謗中傷厳罰化

『鎌倉殿の13人』がますます面白くなってきた。
これまでの序盤を盛り上げた八重(新垣結衣)や後白河法皇(西田敏行)、源義経(菅田将暉)らが続々と死去していく寂しさもあるが、時代が進むにつれて新しいタレントが登場し活躍する。
「諸行無常」、世のものはすべて移ろいゆくというが、時代は人の生死をくり返しながらつくられていくものであることを改めて実感する。

おそらくこの夏、源頼朝(大泉洋)は急死する。
これはネタバレなんかじゃなく歴史的事実として急死する。
死因は謎で諸説ある。落馬して打ち所が悪く落命したとする説、もともとわずらっていた糖尿病が悪化したとする説、何者かに毒をもられたとする説など様々だ。
頼朝という絶対権力者を失い、鎌倉幕府二代将軍・源頼家が若くて指導力不足だったことから13人の重臣たちによる合議制で運営されることになる。
「鎌倉殿の13人」というタイトル通りのドラマが始まるのは頼朝亡き後で、おそらくもうすぐだろう
果たして三谷幸喜脚本ではどのような頼朝の最期を描くのか、楽しみである。

ドラマの主人公・北条義時(小栗旬)の長男「金剛」は今は子役
このあと成人し北条泰時と名乗る。それを坂口健太郎が演じることになっているが、泰時は三代執権に就いたとき「御成敗式目」を制定している。
聖徳太子の17条憲法にちなんで51条ある。(17の3倍

その12条に「悪口(あっこう)の咎の事」というのがある。
いや殺人のもととなるので悪口を禁止するという条文だ。
重い場合は流罪、軽い場合でも逮捕され牢に入れられる。
裁判において相手の悪口を言った場合は即刻負けとなる。
また根拠なく訴えた場合は領地没収か流罪となった。
求心力が定まっていない鎌倉時代の初頭にあって、板東武者どもを束ねていくにはかなり厳しい法律をつくる必要があったようだ。

日本も昨日、「侮辱罪」が厳罰化された。
ネット民のモラルが問われている。インターネット上の誹謗中傷への対策として「侮辱罪」を厳罰化することなどを盛り込んだ、改正刑法が昨日の参院本会議で可決され成立したのだ。

これまでの侮辱罪は「30日未満の『勾留』または一万円未満の『科料』」となっていたが、今回の改正では、「1年以下の『懲役・禁錮』または30万円以下の『罰金』」となり、厳罰化されることになった。

近年、インターネット上、特にSNSやYouTubeやTikTokなどの動画投稿サイト内での誹謗中傷が急増している。
本来、コメント欄は投稿者に対するコメントや意見、質問などのコミュニケーションの場として利用されるもの。
だが最近はそのコメント欄を使って投稿者への誹謗中傷の言葉を書き込むといったいわゆる「アンチ」「荒らし」と言われる行為が多発している。

2020年にはテレビ番組に出演した女性の行動をめぐりSNSが炎上。
その結果、その女性は自ら命を絶つこととなった。
以前にもネット上のいじめ行為などが問題になっていたが、最近は行為がエスカレートしている。

かくいう私も誹謗中傷のメールや書き込みを受けたことは何度もあるが、基本的にスルーしてきた。
最初のうちはもろに受け止めていたがそんなことをしていたら日刊メルマガなど出せないと悟り、開き直った。
スルーできたのは相手が特定個人だったこともある。
もし複数または多数の人から連日攻撃を受けていたら、スルーしようがない

攻撃する側は群衆心理もはたらいてノリの気持ちでやっているのかもしれないが、攻撃される側はひとりの人間だ。
外見はタフで強そうに見えたとしても誹謗中傷に慣れた人などひとりもいない。
「政治家だって例外でない」とどこかの政治家も言っていたが、政治家は批判されるのが仕事の一部。
ただ、根拠のない個人的誹謗中傷までもが許されるわけではない。
いくら武力をつかっていないといっても、ネットにおける「口撃」は時として武器以上の脅威となるので、あらためて襟を正そう。
(晃)