実話ベース物語

怒りまくるとどうなるか

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■コンサルティングビジネスを考える

元祖コンサルタントのフレデリックテイラーは、当時のアメリカでマネジメントの概念を確立した偉大なる人物である。
彼の活躍でコンサルティングの費用は投資であるという考えが広まった。
この動画では、コンサルティング業界の日米比較に注目し、今後のコンサルティングニーズを紹介します。

怒りまくるとどうなるか

かなり前になるが、若手社員20名ほどの前で1時間話すことになった。
「私の自己啓発法」というもので普段あまり話したことがないテーマなのでそれなりに事前準備して研修に臨んだ。

冒頭で私はメモをとることの大切さを訴えた。
あとからメモを整理し、何かのアプリに蓄えていこう。
メモは自己啓発の基本だし、メモをとることは相手への敬意にもなる。
相手がメモを取ってくれていると話し手はうれしくなって予定外のことまで話してくれる。結局得をするのは聞き手である君たちです、と。

その後、話題は「読書」へと移っていったわけだが、徐々に受講者の手が止まっていることに気づいた。
「この本、実に面白かった」と言っているのに誰もメモしない。
『人間の魅力』という本から受けた影響について語っているとき、誰一人メモしていないので話を続けるのをやめた。

昔ならキレていたと思う。
「さっき言ったよね」「どうしてメモしないの!」「やる気はあるの?」「この時間も給料もらってるんでしょ」などと、多少なりとも声を荒げていたはずだ。
だが若い人を相手に怒るのをやめようと決めていた。

メモの取り方を知らない可能性があると思い、私が持ち歩いているノートをお見せした。
意外に大きくて汚ない文字が乱雑におどっているだけのノートだが、要は自分がメモしやすくあとから判読できればそれでよい。
「メモ」とは一時的な書きとめのこと。
「ノート」とはあとから再利用する目的で清書したもの。
「メモ」は紙がよく「ノート」はアプリがよい、などと話した。

無事に1時間の講義を終え、タクシーで家路についたわけだが、感情的にならなかった自分をほめていた。
だが、あとから思えば私の講義はまだまだ未熟だ。
今朝の日本経済新聞に『子供を怒る指導者の罪』と題された次のような記事を見つけた。
(記事は武沢要約)

・・・
横浜YMCAが6月上旬に「怒らないコーチング、怒らない子育て」をテーマにパネルディスカッションを開催した。
スポーツの現場でも体罰指導は猛批判される時代。
だが、暴力はだめでも、怒鳴ったり叱ったりするのは強くするために当然と考える監督やコーチは今も少なくない。
(中略)
暴言を繰り返し浴びて育つと、脳の一部が変形することなどが分かってきた。
「怒られてばかりだと、言われた通りしていればいいとなる。
(スポーツに限らず)日本では親も子供が人と違うことをするのを嫌う。
大学に入っても学ぶのではなく、授業に出ておとなしく前を向いて座っているだけ」
スポーツは子供たちを成長させ、より良い人生につなげるためのもの。
そんな指導で主体性や考える力が失われては本末転倒だ。
怒ったり叱ったりして勝利を目指すのは、監督やコーチの自己満足にすぎないことがよく分かった。
・・・
★子供を怒る指導者の罪(日本経済新聞)

怒ることで「はみ出し者」の芽を摘むことができる。
全員に優等
的な態度を取らせることには成功するが、「言われた通りにしていば褒められるんだ」ということを学習してしまう。
私は怒らなかっ
がそれでもメモを取ることを強要した。
教え方としてはソフトなが
訓練である。

訓練すらも自主性を引き出す必要がある。
ゲームのような課題を与えられ、まず自分で考え、次にチームで話し合う。
そのようにして個人とチームの主体性を引き出していくような訓練が求められる。
これは研修だけでなく、日常業務の指導においても同様だろう。

講師は一人しゃべりのスキルを磨くことだけが良いわけではない。
そのことを今朝の日経が教えてくれた。