●読者からのメール。
A社長
「私は社長業20年目になります。今年55歳になるのですが婿入 りした家内の実家の家業を継いで会社を盛り上げてきました。武沢先生の 経営計画合宿に毎年参加しているせいか、業績の不安はまったくない のですが最近はインフレを警戒しています。なぜなら私はデフレ時代 の経営しか経験しておらず、本格的なインフレ時には環境がどのよう に変わるのか予想できません。ずばり、インフレになると何が変わる のか、経営者は何に注意すべきか、アドバイスをお願いします」
●インフレ(Inflation)には次のような「良いインフレ
<良いインフレ>
- 需要が年々拡大し、穏やかに物価が上昇する
- 消費者の給料も穏やかに上昇する
- その結果、毎年2~3%程度の穏やかなインフレが起きる
<悪いインフレ>
- 需要は拡大していないのに原価が高騰することで物価が上昇する
- 消費者の給料は上がっていないのに物価だけが上昇する
- 年率数パーセントかそれ以上の急激なペースのインフレが続く
●欧米で起きているのは経済再開と需要急増を伴う「良いインフレ
この状態が続くと最悪の場合「深刻なインフレ」に発
これは「スタグフレーション」ともいわれるが物価が急騰し
給料は上がらず失業率まで上がっていく状態だ。
スタグフレーショ
●今回のインフレは石油や鉱物、穀物などの資源が高騰しているこ
また、コロナ対策のロックダウンで一部の製品で供給不
いずれにしろ、このインフレは一時的な
●消費者物価も企業物価も上がり始めている。
そこで、経営者は今
会計用語でいえば、売上原価と販売費及び一般管理費に値上げ圧力
無防備でいると、コストアップだけが一気にすすみ、収益
そこで対策の骨子は次の四つ。
1.調達力を高める
- 品切れリスクが起きる
- 売るものがない、というリスクをなくすために調達先を拡大する
- 一方的な値上げ要求に泣き寝入りしないためにも調達先を拡大す
る - 調達原価が上がるので、交渉力を高めて調達コストを下げる取り
組みをしたり、すくなくとも原価が今以上に上がらない取り組みをする
2.コストダウン(販売費一般管理費のコントロール)
- 今まで以上に予算管理を徹底し、コストアップに目を光らせる
- 固定費削減を全社的に行う
- 先払い、ボリュームディスカウントなどによって経費を下げる取
り組みも有効
3.価格転嫁力を高める
- 単純な値上げ
- 付加価値を高めた値上げ
- アップグレードした新メニューの投入
4.逆転の発想
- すべてが値上げしていく中、我社だけは値下げを発表できるもの
がないか検討する - あえて値下げして市場シェアを取る戦略も体力のある企業では有
効