米国メジャーリーグでは、ファンサービスの一環として人気選手の一人がユニホームにピンマイクを付けてプレイする日がある。
選手の声はテレビの副音声でそのまま放送されるのだ。
新庄選手がメジャーでプレイしていたある日のこと、ヒットで出塁した新庄選手に、相手チームの一塁手が話しかけてきた。当然、相手選手も、この日は新庄がマイクを付けていることを知っている。
「やぁ、新庄。ナイスバッティング」
「おぉ久しぶり。ありがと、我ながら完璧だった」
「ところで、そろそろ日本へ帰るのだろう」
「いいや、帰らないよ」
「野球プレイヤーのあとは何をやるつもり」
「(ちょっと間があってから) ムービースター!」
「マジかよ?」
「ああ、マジだ」
こんな会話がライブで聞けるのだからファンにはたまらない。
別の日、あるアメリカ人選手(外野手)は、味方投手が連打を浴びつづけ、なかなか守備時間がおわらない。そんなとき、
「なにやってんだよ、お前。早く終わらせろよ、俺の方まで調子がおかしくなるぜ」
「頼むから今日は俺の方(レフト)へ打球を飛ばさないでくれ」などと一人グチりつづける。
試合内容がだらけがちになっても、こうしたアメリカンジョークが聞け、最後まで楽しく放送が見られるという。
日本でもようやく試合中に監督インタビューを受け付けるなど、新しいファンサービスを始めたが、とても良いことだと思う。
日本球界のファンサービスのあり方に大きな影響を与えている人物として、アマチュア野球「茨城ゴールデンゴールズ」の萩本欽一監督がいる。彼のおかげでアマチュア野球が今、とても熱いのだ。
演歌歌手・山本譲二氏が今年2月に設立した社会人野球チーム、山口きららマウントGが、萩本監督率いる茨城ゴールデンゴールズとこの春、対戦した。
結果は、13-12という壮絶な打撃戦を制し、山本監督のチームに軍配があがった。1回裏には茨城GGの女性先頭打者に対し、山本監督は、同じ女性の投手を起用したり、9回には自分も代打で出場し、長島選手ばりの空振り三振で約1万人のファンを喜ばせたりした。
欽ちゃんお得意のマイクパフォーマンスはもちろん、この日は、元ジャイアンツの宮本和知投手を助っ人登板させたり、歌手の森山直太朗がゲスト登場し、歌と笑いと真剣勝負を織りまぜた演出に、ファンはみな大満足で帰路についたという。
「茨城ゴールデンゴールズ」の本拠地は、茨城県稲敷市(旧・桜川村)。
大半が農村部だという。選手らは稲敷市に住み込み、野球と農業の両立を目指している。
「社会人野球チームが相次いで廃部の傾向にあることや、プロ野球も再編の波に押されるなど、野球界全体が揺れ動いているので、少しでも野球界の活性につながれば」とこのチームを結成することを決心したという欽ちゃん。事実、元巨人投手の鹿取氏をヘッドコーチに招聘するなどしている。
専用球場には村民の1割にあたる約700人のファンが集まることもあるという。お正月などは駐車場で餅つきをするなどのお祭り騒ぎで、地元の警察署員も出動するほど。
欽ちゃん自身、朝10時から夕方5時まで、集まったファンすべてにサインする。どんなに時間がかかっても、時間の許す限りサインする。
「来てくださいって言ったのは僕だもん」
ファンを大事にする欽ちゃんらしい言葉だ。
今日は野球の話をしたかったのではない。
ファンサービスを追究する野球の事例を通して、あなたの会社の顧客サービスにそれを当てはめ、点検してみようという提案だ。
※今日の話題提供者
加賀屋克美さん(加賀屋感動ストアーマネージメント代表)
http://www.good-businesspolicy.com/company.cgi
※今日は昨日の続きを書く予定でしたが、明日にします