いきなりカミングアウトするが、実は、私はゲームが大好きだ。
子供もあきれるほど親の私がゲームに熱中する。朝、家族が起き出してくる頃、昨夜と同じ場所でゲームをやり続けている父親の姿を家人に見せたことだって何度もある。
でも私はそのことにさほど罪悪感はなく、むしろ「こんな最高のゲームに出逢えて幸せ」と感じていることの方が多かった。
それどころか、好きなゲームでも途中でサッとやめられる子供を見て不思議にさえ思ってもきた。どうして子供は熱中しないのだろう、と。
そんな私も最近は少し大人になってきたのか、熱中しそうなゲームは買わないようにしている。
だが、「快感を起こす刺激は全部良い」「好きなものを遠ざけるというのは脳に良くない」と『バカはなおせる』(久保田競著、アスキー)に書いてあるのを見て、少々とまどっている。
まずは昨日の続きで、久保田教授が本で紹介してくれた面白い実験結果の話から。
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サルに対して、キーを叩いたごほうびとして、腹側被蓋野を電気刺激してやる。(サルはやる気が出て気持ちよいことだろう。)そうしておいて、サルが空腹になる時間にエサや水をやる。その時、サルはどうするか?エサや水をとるか、はたまたキーを叩き続けるか?
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この実験結果の正解は、「サルは、エサや水に見向きもせず、キーを叩き続ける」というものだ。
一日に何万回もキーを叩き続け、空腹のはずなのに食べ物には興味も示さないという。サルにとって最高の報酬であるはずだった「食べ物」よりも上位次元にくる歓びがあったとは驚くばかりの結果だ。
私にとってのゲームもサルのキーと同じだ。熱中してしまうゲームは、定期的に腹側被蓋野を刺激されるようなしかけがある。それは、ちょっとした障害とそのクリアによる新しい展開の始まりである。そして、徐々に徐々に言葉では言い表せないゲームの深遠な世界に一人入り込んでいくことになる。
そんなとき、仕事の義務感や空腹感、生理現象などすべてが気にならない。眠る時間もトイレへ行く時間も勿体ないのだ。
だが、どこかの段階で「これ以上ゲームにはまっていてはまずい」というデッドラインを感じるときがくる。それを感じはじめると、とたんにゲームをやっていることに罪悪感を感じはじめる。実はその時がやめ時、休み時なのだが、ゲーム以外に熱中できるものをもっていないと、無理やりゲームにはまりつづけようと努力してしまう。
それがかえってストレスを招く結果になり、やがてゲーム攻略は遊びではなく、ノルマ営業のように感じはじめる。
そのあたり、久保田教授の言葉を借りれば、脳にとって快感を起こす刺激は全部良いが、不安や罪悪感などのストレスは全部悪い、ということになる。
そこで結論その2.
好きなことをやることと、体を動かすことをふだんの生活に取り入れること。朝から晩まで一つのことに夢中になり、無言でいるというのはかえって良くない。
中高年のための結論その3.
生活習慣病は脳にひどいダメージが及ぶ。脂肪が気になりだしたら低カロリー食をおいしく食べ、軽いジョギングなどの運動習慣を取り入れよう。
その他、恋愛や性と脳の関係、部下や子供の脳を伸ばすしかり方、ダメにするしかり方などなど、もっと詳しくお知りになりたい方はこちら↓
「バカはなおせる」(久保田競著、アスキー)
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