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クレド

「武沢さんに見せたくて今日までに間に合わせました」と出来たてホヤホヤのクレドを見せてくれたカンドウコーポレーション(広島)の福原社長。

クレドといえばジョンソン・アンド・ジョンソンやリッツカールトンなど、理念や使命を大切にする企業で利用されてきたものだが、中小企業のそれを実際に見たのははじめてのことだ。
福原さんの許可をいただいて撮影したので、ブログでイメージをつかんでいただきたい。

「がんばれ社長!」ブログ → http://www.blog.e-comon.co.jp/

クレドとは、「志」や「信条」という意味をもつラテン語。リッツカールトンの従業員は46ページにわたるクレドカードを肌身離さず持ち歩いているそうだ。

リッツカールトンでは、会社をスタートさせた1984年に、創業者たちのもとに集まったメンバーで「リッツ・カールトンはお客様や従業員にとってどんな存在であるべきか。そのために私たちは何をすべきなのか」を徹底的に話し合ったという。そして、その結果を紙にまとめたのがクレドの始まりである。

クレドには企業の理念や使命、サービスの哲学などが書き込まれている。決して目標が書いてあるのではないし、マニュアルでもないのだ。むしろ、目標やマニュアルを作りための前提となる考え方が記載されているものと考えよう。

リッツカールトンのモットーは、

「We are Ladies and Gentlemen Serving Ladies and Gentlemen」
(紳士淑女にお仕えする我々も紳士淑女です」だ。

従業員とお客様は同じく紳士淑女であり、同じ目線、同じ感性で働くべきであって、一段へりくだってサービスする給仕なのではない。

クレドの内容は、
・従業員への約束
・サービスの3ステップ
・リッツカールトンベーシック(スタッフの行動指針)
などだ。

より詳しく勉強されたい方は、同ホテル日本法人の高野登氏が書いた『リッツカールトンが大切にする サービスを超える瞬間』に詳しいのでそちらを参考にされたい。

言わずもがなだが、クレドさえ作ってしまえば急にうまくいくというわけではない。作ったあとの、浸透と徹底に対するこだわりを忘れてはならない。クレドの朗読、講義の時間は決してショートカットできないほどの優先順位を与えねばならない。

また、クレドを作ることはすなわちその実現に向けて必要な動きをとり始めることでもある。
例えば、リッツカールトンの場合はクレドに従って従業員も「お客様」として遇される。従業員を内部顧客と考え、社員食堂の入口には黒服のスタッフが満面の笑みで社員を出迎えてくれる国もあるという。
こうした社内での感動があるからこそ、外部顧客に対してもホスピタリティを提供したいという強いエネルギーが生まれてくるのだろう。

従業員に権利を与えることも大切になるだろう。

例えば、ホテルに宿泊されたある大学教授が、夜の講演会用の資料を部屋に忘れたまま講演会場に向けて新幹線に乗ってしまわれた。
忘れ物に気づいたホテルはどうするか。
宅急便で送っていては間に合わない。

そんなとき、リッツカールトンのスタッフは躊躇せず新幹線で後追いするという。なぜ、ためらいもなくそんな事ができるかというと、次の三つの権利が従業員に認められているからだ。

1.上司の判断を仰がずに自分の判断で行動できる
2.セクションの壁を超えて仕事を手伝うときは、自分の通常業務を離れること
3.一日2,000ドル(約20万円)までの決裁権

これだけあれば、お客様の後を追って世界中どこだって飛べるに違いない。実に大胆な経営判断だが、こうした大胆さがあるからこそ、社員にも経営陣の気持ちがストレートに伝わるのだろう。

(参考:『リッツカールトンが大切にする サービスを超える瞬間』高野登著 かんき出版)
 →http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761262788/
 

最後に、カンドウコーポレーション方式によるクレドの作り方は、

1.社長がクレドの目次を提案する
2.何度かのスタッフ会議でクレドの中味を議論、草案とりまとめ
3.スタッフ草案を経営陣(社長を除く)にプレゼン、議論
4.再び何度かのスタッフ会議で草案修正
5.再びスタッフと経営陣(社長を除く)とで議論、原案決定
6.社長に対するプレゼン → 微調整を経て正式決定

という手順だったそうだ。

「福原さん、このクレドはカッコイイし内容も素晴らしいので、私に一部くれませんか?」とお願いしてみたが、「申し訳ない。クレドは社外向けのメッセージ媒体ではないので、ご覧いただくだけでご容赦を」と言われた。

なるほど、外部配布を意識していては良いものを作れないかもしれない。それが正しい判断だろうと思う。
よし、私も作ってみよう。法人クレドだけでなく、個人クレドがあってもいいじゃないか。

ザ・リッツカールトン大阪 http://www.ritz-carlton.co.jp/
 The Ritz-Carlton.(英語) http://www.ritzcarlton.com/
カンドウコーポレーション http://www.can-do.co.jp/