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彼の流儀

私の場合、一本のメルマガ作成に要する時間はおおむね二時間である。しかも原則として書き貯めをしない。その日のメッセージはその日に書くのが好きだからそうしている。
従って、月曜日から金曜日まで毎朝二時間以上キーボードに向かうのが私の日課だ。

そんなお話しをある所でした。その後の懇親会で、ある経営者からこんな助言をいただいた。

「武沢さん、私も週に2回メルマガを発行していますが、基本的にはすきま時間を見つけてやっているので、まとまった時間を割いているわけではない。だから仕事にも支障が出ないで済んでいる。武沢さんも忙しいはずなので、もっとすきま時間で書いてみられてはどうですか?ちなみに、私はこの『W-ZERO3』という端末を愛用していて・・」

助言は大変ありがたいし、『W-ZERO3』には興味がある。しかし残念ながら彼とは価値観や流儀が違うようだ。

わずかなすきま時間を惜しむ気持ちはわかるのだが、もしすきま時間が生まれれば、手帳とにらめっこするか、ノートに何か書きものをするか、読書している方が楽しい。いや、楽しいというより生産的というべきか。

特に私の場合、メルマガ発行そのものが大切な仕事だ。だから、まとまって集中できる時間を確保してあげたいのだ。アイデアに深まりが必要で、そのために最低二時間必要、ということなのだ。

これが私の流儀だ。

ある経営者は、経営会議の時間の半分はメモをとっている。何をそんなに書いているのか尋ねると、「部下の発言内容をメモるときもあるが、それから触発される自分のアイデアをメモることが多い。一回の会議で10頁以上のメモ量になることもある」ということだった。

これが彼の流儀だ。

ベートーベンは膨大な数の楽譜メモ断片を残しているが、作曲中にはそれらのメモを見ることはなかったという。「なぜそうするのか?」と尋ねられたベートーベンは、「一度書かないと忘れるが、一度書けば忘れない。だからもう見る必要はない」と答えたという。

これが彼の流儀だ。

自分が話すのを自分が聞いて学ぶ人もいる。GMの中興の祖とも言われるアルフレッド・スローンもその一人で、会議中には一切メモをとらなかった。部下の発言で、重要なものがあればスローンは自分の言葉でもう一度同じことを語り、その場で咀嚼してしまう人だったのだろう。

これが彼の流儀だ。

このように人それぞれに仕事の流儀というものがあって、正解は一つではない。自分にとって最も高い成果が得られるスタイルを見つけ、自覚し、磨き、貫こう。