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ケミストリー

息子が沖縄修学旅行から帰ってきた。たった四日間家にいなかっただけだが、残された四人の中で明らかに別の人間関係が生まれ始めていたような気がする。人と人の組み合わせて、不思議だ。

一人ひとりの能力の合計値が組織の力になるのではない。

例えば、三人の会社で能力値がそれぞれ5、3、1だったとしよう。
合計点は9になるが、会社全体の能力値がそのまま9になるとは限らない。それ以上にもなるし、それ以下にしかならない可能性もある。
それを決めている要素の一つがケミストリー(CHEMISTRY)、つまり人同士による化学反応だ。

人を採用する側として、その本人がもつ能力や経験以外にケミストリーのことも考慮する必要があるだろう。

「打率3割2分で一匹狼の選手と、2割8分でリーダーシップが取れる選手では、どちらの選手を獲得しますか?」と尋ねられ、「間違いなく2割8分の選手を取る。打率にして4分の差というのは年間のヒット数に直すと20本の差でしかないんだ。それならば、チームに好影響を与える選手を私なら取るね」と答えたのシアトルマリナーズのギリック・ジェネラルマネジャー。
技術をもった選手は多いが、それにプラスして、リーダーシップが取れる選手はメジャーリーガーでも希少価値があるようだ。

会社経営だって同じだろう。
「受注金額が毎月320万で一匹狼の営業マンと、280万でリーダーシップが取れる営業マン、あなたはどちらに高い年俸を払いますか?」

月間40万円の受注差は、年間換算で480万円の差。粗利益率50%として240万円の粗利益差。それくらいだったら組織に好影響を与える280万の営業マンを取りたくなる。

ケミストリーが有益か否かをみるために試用期間がある。

ケミストリーを見るための一つの方法が、先輩社員総出の歓迎会だ。
輪の中に積極的にとけ込んでいくような人、あるいは会全体をリードするような人ならばもちろん◎。
スムーズに融合できれば○。何かギクシャクしたり、普段より冷たい空気をつくってしまうようであれば△か×。

また、イチローのようなリーダーシップも見事だと思う。言葉ではなく、行為で周囲に影響を与える人材だ。
今日の言葉で紹介した、「君子は言(ことば)に訥(とつ)にして、行いに敏(びん)ならんと欲す」のような人材は千金に値する。

ケミストリーといえば真っ先に男性ボーカルグループを思い浮かべるかも知れないが、人と人の化学反応という意味もあることを覚えておこう。