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性教育は生教育につながる

「武沢さんは子どものころ、学校や親から性教育をきちんと受けた覚えはありますか?」昨夜の会合のことである。名刺交換もそこそこに初対面の美しい女性にそう聞かれた私は返答に窮した。

「性教育ですか。そうですねぇ、保健体育の先生が一時間ぐらい恥ずかしそうに教科書を解説してくれたような記憶があります」と私。すると、隣にいた若い男性が「僕なんかまったく記憶がない。たぶん、性教育はゼロだったんじゃないですか」と言う。

いずれにしろ、多くの人たちの性知識は大人になって身につけた断片的なものの寄せ集めでしかない。そのなかには都市伝説的な怪しげなものも混じっている可能性だってある。

質問の主は神(じん)ひとみさん。笑顔が絶えない方だが、自己紹介でご自身のことを語り出されたとき、私は思わず言葉を失った。

彼女は16歳で性被害を受け、心に傷を負った。「性犯罪では被害者は自分を責めることが多い。私自身も被害者として声を上げることができなかった」と神さん。性の話そのものがタブー視され、自分の両親にすら被害の話を打ち明けることができなかったという。しばらくは、恐怖と羞恥から外を歩くこともできない。打ちあける相手もなく、一人で悶々とした。自分の心を癒やしたい一心で心理学と性知識の勉強をはじめた。

「結婚すれば癒やされるかもしれない」と 22歳で結婚し、宝物のような一人息子を授かった。しかし家庭づくりはうまくいかず、心の傷も癒えないまま数年で離婚。「収入源がないから」と一人息子の親権も男性側に譲ることになった。

普通なら完全に心が折れてしまうところである。しかし、神さんは踏みとどまった。
「もう失うものはない」
と、攻めに出る決心を固めたのである。

一般社団法人パートナーシップ推進協会を設立し、性教育の推進を通して性犯罪・性被害をなくす運動を始めることにした。その思いは、「笑顔で暮らせる地域社会の創造」だった。

「性教育とは命や愛について学び、自分で自分を守る大切さを学ぶこと。望まない妊娠や、性被害に遭わないために正しい知識を学び、オープンに話せる親子関係づくりも非常に大切」と訴えてまわった。最近では、愛知県警主催の安全フォーラムでも講演されている。

★中日新聞記事→ http://opi-rina.chunichi.co.jp/topic/20140731-3.html

「少しでも私の体験と知識が役に立つなら」と、独身者を対象にした恋愛カウンセリングやお見合い相手仲介、経営者の心の健康相談、コミュニケーショントレーニングなどの仕事もこなすようになった。

今年で 10周年を迎えた「世界エイズデー in NAGOYA」のプロジェクト活動にも参画し、神さんは渉外を担当している。正しい性教育の一環として、エイズ啓発にも力を注いでいるのだ。

そのプロジェクトのビッグイベントが今週土曜日(9月 20日)、名古屋市立大学で行われる。

1年以上前からこのイベントの目玉講師をどなたにするかプロジェクトメンバーで考えた。その結果、国際的なエイズ対策委員会で活動されている安倍昭恵(あべ あきえ)さんがふさわしいと決まった。ところがコネも予算もない。安倍首相の奥様だけに、対外的な活動にも制約が多いはずだ。

「果たして呼べるだろうか?」
プロジェクトメンバーは皆、懸念した。

神さんは突撃精神を発揮し、アタックした。長文のメッセージで昭恵さんにオファーを出したところ、
「この日なら大丈夫です」
と即日回答をいただいた。プロジェクトメンバーは湧いた。

その講演会に興味のある方は、「ちけっとぴあ」「セブンイレブン」「サークルKサンクス」で PIN コード 627ー 191を入力するとチケットを買うことができる。

日付:9月 20日(土)14:00~16:00
内容:安倍昭恵さん講演
エイズ問題に関するパネルディスカッションなど
前売り価格:1,500円
会場:名古屋市立大学 川澄キャンパス さくら講堂
名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1
地下鉄桜通線「桜山駅」下車すぐ
http://www.nagoya-cu.ac.jp/1519.htm

(どうしてもチケットの買い方が分からない方は、当日受付で「がんばれ社長を見た」と言っていただくと前売り価格で会場に入れてくれるはず)

日本の性教育は国際的にみても大きく立ち後れている。それを嘆いたり、憤慨したりするだけでなく、自分たちでやれることからやっていこうというのが神さんの考え方である。正しい性知識を普及し、性犯罪・性被害をなくすことは命や愛を大切にする「生教育」にもつながると神さん。

9月 20日、会場では安倍昭恵さんの講演、それに神さんにも会えるはずだ。私も参加しようと思っている。

あなたもご一緒にいかがだろう。