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コミタク

「父から受け継いだ借金だらけの運送屋を更に借金まみれにし、行く道ふさがった状態で始めたのが今の仕事です」と語るのは、岐阜県多治見市の株式会社コミュニティタクシーの岩村龍一社長。年令は尋ねていないが、40才くらいだろうか。氏はこう続ける。

「かつて、自分の回りを見渡せば、どいつもこいつも銭銭銭銭・・。なんだか嫌気がさしていたところ、いろんな出会いがあって、“人に喜ばれてメシを食う”仕事がしたいと思うようになりました。ちょうど、道路運送事業の規制緩和にタイミングがあって、荷物を人様に、トラックを乗用車に変えて、地域のみんなにありがたがられる商売をしようと思いつきました。公共交通機関と言われているものの、本当に公が支持しているのか、便利で使い勝手のいいものなのか、特にタクシーなんて、ぶっきらぼうの愛想の悪い、小汚いおじさん運転手に“乗せていだいている”風の矛盾に、こりゃ間違っとらせんかぁと・・・。もっと年寄り大切にして、もっとお客さんにサービスせんかい!と思ったのでした」

私(武沢)も自動車の運転をやめて11年になる。それ以来、タクシーが日常の足になってからというもの、タクシーに乗ることへの後ろめたさと遠慮が消えた。
それ以前は、地方出身者に多い思考だろうが「タクシーに乗るなんてぜいたく」という気持ちがあった。“ぜいたく品”なだけに、初乗りのワンメーターで終わりそうな所へ移動する際は、運転手さんにいたく気をつかったものだ。「近くて申し訳ないのですが」と前置きすると、本当に迷惑そうな顔をされたことも数限りない。
そんなタクシーのサービス水準も最近はずいぶん上がってきてはいるが、まだまだ個人差が大きい。

岩村社長の話しが続く。

「みんなやがては年を食って足腰弱って、出かけたくても出掛けられなくなる。そんな時、今のタクシー乗りたくないよなぁ。かといって嫁や息子に気を遣って、小さくなりながら町へ乗せていってもらうなんて、これも嫌だなぁ。よし、地域のみんなの足となろう。いやいや、手にもなろう。・・・でも、会社興すだけの銭もないし、力もない・
・・。
そんなことを回りにベラベラしゃべっているうちに、みんなのお金を集めようという話になり、賛同していただいた方々からの出資で会社が立ち上がったのでした」

なるほど、かっこいい。これぞ株式会社。

利用者が利用者のために創る「市民タクシー構想」・・・なんて聞いているだけでステキな話し。だが、現実は設立時の出資に本人は一円も出していない、いや、経済的苦境で出せなかったという。親戚や友人、取引先等々が協力してくれた。にもかかわらず、「お前が社長をやれ」と背中を押してくれた。運送事業に失敗しても、みんなから可愛がられる失敗者もいるのかと私はおどろいた。だが、岩村社長の魅力あふれる個性をみていれば、誰もが「岩村にやらせたい」と思うに違いない。

「まだまだ決して順調と言える経営状況ではありませんが、現在、一般タクシーの売上が9割、なんでもやりますの便利屋が8分、訪問介護が2分です。売上だけ見ると普通のタクシー会社ですが、70歳以上の高齢者で構成するシニア会員が、1年半で2,000名になりました。多治見市内の70歳以上のほぼ4分の1が会員になっていただいております。ほんの少し、年寄りにやさしくしただけでこの数字。
行く道は間違っていないと確信しております。最後に開業後バタバタしていて、まだ作りかけでお恥ずかしいものですが、ホームページで詳細をご覧下されば幸いです」

<株式会社コミュニティタクシーの概要>
・代表取締役 岩村龍一
iwamura@comitaku.com TEL0572-23-5611 FAX0572-23-5458
〒507-0014 岐阜県多治見市虎渓山町3丁目117番地の3

・一般貸切旅客自動車運送事業、便利屋サービス事業、他関連事業
・株主構成=地元中小企業経営者、飲食店主、自営業者、会計士、司法書士、社会保険労務士、主婦等。 
・設立理念 生活者にとって真に使いやすい足となる新しいタクシーの創出と機動力を生かした各種の生活支援サービスの提供で、地元住民の生活環境の向上や高福祉社会の形成、 および地域経済の活性化に寄与することを目的とし、地域に密着したコミュニティビジネスを確立したい。 
・ビジョン 地域に根付いたコミュニティタクシー事業を当地域で確立後、事業コンサルタント、フランチャイズ化の展開により、広く全国に普及させることで社会貢献を図る。ま た、貨物運送滋養貨物運送事業者の兼業等、タクシー事業参入希望者への開業セミナーおよび開業コンサルタント事業で、健全な業界の発展に寄与する。 
・既存タクシーとの差別化のポイント
 1.乗務員がドアを開ける「ドアサービス」の実施など、お客様本位の徹底した接客サービス。
 2.中部運輸局自動認可運賃の最下限運賃を設定、また、開業時9台は全車小型車で低料金を実現。
 3.流し業務、駅待ち・病院待ちの廃止。(電話受付による配車)
 4.環境にやさしいハイブリッドカーを導入。(9/1現在13台のうち、トヨタ・プリウス7台)
 5.全車にGPS装置を配備。
 6.業界未経験者やパート運転手の積極採用。(高齢者、女性)
 7.福祉専門家を雇用し、社内に福祉事業部を設置。
 8.便利屋事業部(ラクシーホームズ)を設置し、買い物代行、草刈等の生活支援サービスを提供する。

株式会社コミュニティタクシー http://www.comitaku.com