Rewrite:2014年3月28日(金)
I社長は、企業や学校用のシステムを開発する会社を経営している。一部上場企業のシステムも請け負う技術者集団なのだが、I社長自身は「バリバリの文化系」だという。スマートな外見にソフトな語り口で、てっきり技術一本槍の方だと思っていたので少々意外だった。
社内には東大をはじめ一流大学卒業の技術者が英語の技術書を読みこなしつつ、高度な開発をすすめているという。
「どうしてそうなったのですか?」と聞いてみた。
I:「この業界は案件ごとにプロジェクトが組まれ、終了するとチームが解散するということをくり返してきました。他の企業とか、在宅の技術者とチームを組むことが多いのが特長なのです。それで、あるとき短期のプロジェクトのために技術者が必要になり、思い切った求人広告を打ったのです」
武:「思い切った求人?」
I:「はい、時間給5,000円という広告です」
武:「時給5,000円ですか?」
I:「そうです。そんなに驚くことではないのですが、高いのは事実です。これだけ高くすると、応募が殺到するのではないかと思われますが、かえって減るものです。本当に自信のある人しか応募してこないからでしょうか」
武:「へえ、そんなものですか」
I:「はい。それと多数の面接をしていて気づいたのですが、本当に技術力の高い人は謙虚なのです。きっと高いものを目指しているからでしょう。『自信がある』という人のほうがむしろ危ないですね。」
このようにして集めた人材とひとつのプロジェクトを完遂する。その過程が双方にとってお見合いだ。人材の選別もできる。
I社長のユニークな人材採用戦略はこれだけではない。
ネットを使ってピンポイントにスカウトメールを送るそうだ。個人ブログやFacebookをみていれば技術の程度が想像できるという。そういう人に直接コンタクトを取り、短期プロジェクトを一緒にすることで次につなげるというのだ。
「僕の仕事は毎日、ブログやFacebookをチェックして技術者を探すことです」と笑う。