決算書は社長の通知表だと言われる。この一年、どのような経営をしたかという単年度評価が損益計算書でなされる。
また、過去どのような経営をしてきたか、という累計総合評価が貸借対照表でなされるわけだ。
やっぱり「経営力の通知表=決算書」なのだ。
では次。
あなたの会社が世の中からどの程度必要とされている会社かどうかは何を見れば良いだろうか?
それは、粗利益だと私は思う。
粗利益は、別名「付加価値高」とも言われる。つまり、付加した価値を金額換算したものだ。
例えば、私はボトル飲料「がんばれ茶!」の専門店を経営している武沢商店の社長だとする。
「がんばれ茶!」は全国ブランドの日本茶で、日本中どこでも買える。
私はそれを飲料メーカーから1本あたり60円で仕入れ、150円で販売しているとする。
まず、この差額90円のことを粗利益とも付加価値高とも言う。
仮に一年間で1本仕入れ、1本売れたとしたら
売上高 150円
仕入れ 60円
粗利益 90円
(原価率 60円÷150円=40.0%)
(粗利益率 90円÷150円=60.0%)
となる。
私は「がんばれ茶!」を自らの直営店舗で販売する他、自動販売機でも売っているのだ。
一ヶ月に1万本売っているので損益はこうなる。
売上高 150万円
仕入れ 60万円
粗利益 90万円
経費 70万円
営業利益 20万円
そこで一つの仮説。
もし飲料メーカーが直接消費者に販売出来るようになれば、限りなく60円に近い金額で消費者は買えるようになるはずだ。
なぜ消費者は、私のお店に150円も払っていただけるのかを自らに問いかけてみる必要がある。なぜならそれが「付加価値」だから。
・メーカーからも喜ばれ
・お客からも喜ばれる
そのような貢献をしているから堂々と90円の付加価値高をいただいている訳だ。その理由をはっきりさせよう。
例として、武沢商店の場合、付加価値はこうなるだろう。
・お客が買いやすい場所で営業している
・お客が買いやすい時間に営業している
・ばら売りしている(メーカーはケース販売)
・いつも飲み頃の温度で提供している
これらのことは、飲料メーカーからみてもお客の側からみても明らかに付加した価値だ。よって堂々と付加価値高をいただくことができるわけだ。
だが、ここに問題が勃発した。
景気の悪化と競争激化で武沢商店の付加価値が大幅に下がってきそうなのだ。一気に赤字になりかねない状況がやってきた。
まず、茶飲料全体の売れ筋価格帯が下がり、「がんばれ茶!」も来月から20円値下げして130円で販売せざるを得なくなった。
しかも仕入れは60円のままだ。
さらに、ライバル社数社が類似商品「やる気ウーロン茶!」や「テンションドリンク」などを発売。消費者から見れば一気に選択肢が増えてウレシイだろうが、こちらとしては今までの売上高や販売数量の維持は相当厳しくなってきた。
どうやら時代は平時から乱世に移行したようだ。さあどうなる?いや、どうする? 武沢商店。
経営力の通知表が決算書だ。腕の見せ所である。
<明日につづく>