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日本ワイン界の挑戦

平成14年度におけるワインの出荷・輸入総量は27万キロリットルで、前年比4.2%の増加だった。最近、ふたたび密かなワインブームとも言われているので伸びに期待したいところだが、酒量全体に占める割合はまだ3%である。

旧約聖書にも登場するワイン。日本では織田信長が好んで飲んだことでも知られているが、日本で作られるようになったのは、この125年間のことで、ヨーロッパに比べるとずいぶん歴史が浅い。

その中の古参の一社、蒼龍葡萄酒(そうりゅうぶどうしゅ)株式会社を訪問した。
蒼龍といえば、勝沼ワイン人気投票2004でも首位を走る人気メーカー。 
http://katsunuma.net/anq-wine/mesganq.cgi 

「目指すはロマネコンティだが・・・」と語るのは同社の鈴木社長。山梨県勝沼産の甲州ぶどうから世界一のワインを作ろうと一世紀あまり努力を続けてきた。もちろん今でも世界一のワインメーカーを目指しているが、クリアすべき課題はあまりに多いという。

ワインの製造技術という点ではすでに世界にひけをとらないレベルにある日本。だがワインにとって最大のポイントはぶどう作りなのだ。ぶどうを収穫する9月から10月に雨が多いというのが日本ワインの大きなハンデ。収穫の前日に雨が降れば、それだけでぶどうの糖度が1%低下する。

糖度がアルコールと炭酸ガスに変化するため、ぶどうの糖度の高さはワイン作りの決め手になるほど重要事項。これは甘いワインを作るためではなく、発酵させて良質なワインを作る上で欠かせない条件なのだ。欧米では日本のような秋雨前線や台風が少ないため、楽勝に糖度が高いぶどうができる。

二つめの課題は、ぶどうの生産コストだ。地代や人件費などぶどう作りに関わるコストが日本の場合世界一高い。同じものを同じ値段で作るということのハンデが大きい。

欧米や第三諸国のワインに勝てない理由を説明するのが本稿の主旨ではない。そんなぶどう作りの困難さに挑みながら、技術改良や品種改良の努力によって世界のワインに混じって金賞を取るようなワインが日本から出ているという現実に目を向けたい。
「まだまだ何百樽の中の一樽しかそうしたワインは出来ない」(鈴木社長)というが、何百分の一でも良い。世界に互すことができるワインが日本で作れるようになったその現実が大きい。

一昨日、山梨青年工業会の講演のあとの懇親会。山梨のルミエール社の「シャトー・ルミエール」を頂戴した。
同社のワインも欧州ワインコンペティションで92年、94年と赤ワイン部門で金賞を受賞。米国大統領主催の舞踏会や橋本首相主催の午餐会で採用されるなど、折り紙付きのワインだ。さすがにその風味や喉ごしは格別。私の中にあった甲州ワインイコールぶどうジュースっぽい甘さ、というイメージが粉々に粉砕された。

今回訪れたのは勝沼の甲州ワインだが、長野など全国各地でワインが作られている。「Made in Japan」がワインでも世界に通用する日を信じて挑戦が続く。

「がんばれ!ジャパン・ワイン」

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http://www.chateaumercian.com/cm/winery/shiryokan/