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It’s the job

ある映画のロケ現場。

「シーン11、カット6、スタート!」。カシャッ。
「・・・」
「はい、カット」
以下、監督と俳優のやりとり。

監督:「渥美さん、どうしたの。ムスッとした顔して。ここはあんたがニコッと笑う絵が欲しいのよ。わかる、笑顔よ。さあ行ってみよう」
渥美:「・・・、あのぉ監督、たのむ。勘弁してほしいんだ」
監督:「勘弁してほしいって何よ。笑顔くらい作れるでしょ」
渥美:「じつは、ちょっと今悩んでることがあって笑える気分じゃないんだよ」
監督:「はぁ?」

もしこんな役者が本当にいたら二度と仕事は回ってこないだろう。

役者の仕事は、台本通り、あるいはそれ以上に役を演じ切ることである。今の自分の気分がどうであれ、瞬時に期待された役を演じなければならない。それがプロの役者だ。

ディズニーランドでミッキーの着ぐるみに入っているキャストが、今日はブルーな気分だからという理由でパーク内をトボトボ歩くだろうか?
ありえない。

ひるがえって、会社内ではどうだろう。私たちが演じるべきことは何だろうか。

会社や組織など複数の人々で仕事をする共同体では、「笑顔をみせる」、「時間を守る」、「お辞儀をする」、「あいさつする」、「報告する」などは演じるべき大切な役である。お客に笑顔を見せてはいけない仕事や、あいさつしてはいけない仕事もあるだろうが、職場内では、要求されるのだ。
これは、本人が気が向く・向かないかとか、納得できる・できないの問題ではない。それが仕事なのだ。それが演じるべき役なのだ。

これら基本的なマナーやエチケットは、仕事以外の余分なことではなく、仕事そのものだということを社員に教えよう。

一番ベストなのは、仕事だから笑う、仕事だから時間を守るというような義務感で行うのではなく、自然にそれができるようにしよう。
自然に出来ないのなら、しようがない。役柄を演じよう。

経営者は社員の成長を期待しよう。遠慮なく成長を期待しよう。

成長するとは、必要によって本能に逆らえるようなることであるのだ。