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文官を召し抱える

Rewrite:2014年3月26日(水)

武官と文官ということばがある。

武官とは軍事に携わる武将であり、文官とは軍事以外の行政事務に携わるスタッフのことだ。
戦国武将の物語や中国の歴史物を読んでいると、戦上手といわれる武将には、輜重(しちょう)隊などという補給部隊に優れた文官を抱えている。武将だけでは勝てない。兵隊集めやその移動、武器弾薬と食料の輸送など、裏方の戦いでもある。武官と文官それぞれに有能な武将を抱えることが勝つ条件のようだ。

企業経営も同様ではないだろうか。

経営にとって武官とは、営業部門や技術部門の人材だ。文官とは、総務人事や経理財務など、総称して管理部門の人材だ。

強い会社は必ず武官だけでなく、有能な文官を抱えている。
白沼社長(仮名、49才)の会社は、社員数17名だ。社名は白沼建設工業といい、建物の解体と産業廃棄物の中間処理を営む。この会社は年商は10億を少し切るが、毎年5%前後の税引前利益を計上し、財務体質も良好だ。この白沼社長は8年前、産業廃棄物部門に参入した時点で文官を採用した。
この文官の吉永経理部長(51才)が大変有能だ。管理畑出身者がもつ特有の個性があるが、経理財務から総務人事、労務においてすべて独学で勉強し、業務をこなす。白沼社長と吉永部長の意見衝突は日常茶飯事になっているが、あくまで衝突であって、対立ではない。
彼を重用してきた白沼社長の勝利だろう。

その反対に、千人近い社員数規模を持ちながら、ほとんど文官が存在せず、一般事務員レベルばかりが揃った企業もある。社長は、「賃金制度の改革だけで3年の歳月を費やしてしまった」と嘆かれるが、当然の結果だろう。武官揃いの幹部構成では、管理部門に弱みが露呈して当然なのだ。

・成長する会社は、管理部門から弱体化しやすい
・リストラできない会社は、管理部門が弱い
・人が育たない会社は、管理部門が弱い
・優秀な人がとれない会社は、管理部門が弱い
・労務問題を抱えている会社は、管理部門が弱い
・社長の意向が徹底しない会社は、管理部門が弱い

実働部隊に目をやりすぎると管理部門がおろそかになる。間接部門をカットし過ぎてもいけないのだ。
管理部門=文官を育てることにも注意を払おう。なにも外から引っぱってくる必要はない。武官から適性のある者を回せばよいだけである。