経営理念はすでにある。理念を明文化し、社内のいたるところにそれが掲げられている。会社案内やホームページにも載せた。
あとは、それがお題目に終わらないよう、理念を社内に浸透させる創意工夫が必要になる。
では、そのために私たちは何をすべきか、というのが昨日・今日のテーマだ。
社員全員が経営理念を暗唱していることが望ましいが、あくまでそれは二の次。仕事を通して理念が実践されていること、実践しようと全員が努力していることが大切なのである。
きのうの続き。
武:「では最後の質問です。あなたが模範としている東京ディズニーランドの経営者やマネジャーたちは、現場で働くスタッフに対してどのような理念浸透策をとったとお考えですか?」
H:「う~む。どうかなあ、徹底した教育とかマニュアル化でしょうかね」
武:「ちょっと違うようです。東京ディズニーランドの経営母体である株式会社オリエンタルランドのサイトを見てみましょう。
企業理念を、『企業使命』『経営姿勢』『行動指針』の3本の柱で構成していますね。その中味は、
・企業使命・・自由でみずみずしい発想を原動力に、すばらしい夢と感動、ひととしての喜び、そしてやすらぎを提供します。
・経営姿勢・・1. 対話する経営
2. 独創的で質の高い価値の提供
3. 個性の尊重とやる気の支援
4. 経営のたゆまぬ革新と進化
5. 利益ある成長と貢献
6. 調和と共生
・行動指針・・1.探求と開拓
2.自立と挑戦
3.情熱と実行
http://www.olc.co.jp/company/philosophy/index.html
とあります。
H:「なるほど」
武:「私の友人の香取さんは元・東京ディズニーランドの社員であり、年間MVPも取った方です。ディズニー関係のベストセラー本も出して おられますが、その香取さんから聞いた話をご紹介しましょう」と、次のようなお話しをした。
ディズニーランドでは、「経営姿勢」にもある通り対話を尊重している。“あれをしろ”とか、“これはするな”といった取り決めやマニュアルは最小限度のものしかない。
朝礼や終礼で、お客さんから寄せられた感謝や激励、お叱りなどの手紙・FAX・メールを全員で共有する。
その内容から、私たちの仕事はどうあるべきかについて上司から質問され、自分たちで考える。
感謝の声のときにはミーティングの時間が楽しい。叱責を受けたときや、可愛そうなことをしてしまったときには、涙を流して反省し後悔することもある。来園されるお客様それぞれに人生ドラマがあることを知る。園内で働く自分たちは、毎日同じ職場で同じ顔ぶれで働いているから感覚がマヒしてしまうが、お客様は一生の思い出としてご家族で遠出してお越しになる方も少なくない。おのずと、日々お客様のことを考えるようになる。ミーティングは、それだけ。決して、顧客満足とはCSとかのむずかしい単語を使っての議論はしない。だが、結果的には、自分で毎日考えることによって、自分たちの仕事の目的を再確認でき、全スタッフがその持ち場において理念を実践することになる。(香取氏・談、文責・武沢)
http://homepage3.nifty.com/koushobo/item/contents/disney.html
社長や上司が仕事ぶりを押しつけると、部下は自分で考えなくなる。
答えを与えるのでなく、考えてもらうことが大切だ。そのためには、忍耐強く質問を発しよう。
質問の内容は、理念の実践についてだ。
理念的な営業、理念的な製品、理念的な製造、理念的な業績、理念的な人事、理念的な会議、理念的な社風、理念的なオフィス、理念的な
・・・。
「理念的」という基準であなたの会社のすみずみを点検してみよう。
きっと、そこから新たな目標や課題が見つかるに違いない。