6月22日に日本経済新聞が発表した2004年「働きやすい会社」ランキングは興味深かった。ランキング上位10社をご紹介しておこう。
第一位:日本IBM
第二位:松下電器産業
第三位:東芝
第四位:NEC
第五位:東京電力
第六位:富士ゼロックス
第七位:東京ガス
第八位:損害保険ジャパン
第九位:大阪ガス
第十位:中部電力
「働きやすい」とはどういうことなのか、この調査の手法そのものがおもしろい。調査の対象は、上場企業を中心に183社。
まず企業側に、人事・労務制度の実態を調査し、さらにビジネスマン855人が何を重視しているかをリサーチし、その傾斜配分で順位付けを行ったもの。
その結果を、
1.社員の意欲に応える制度
2.人材育成の積極性
3.納得できる評価制度
4.働く側に配慮した職場づくり
5.休暇休業制度
6.定年延長と再雇用制度
という6つのジャンルに分け、上位企業を診断、特集している。
この調査は大企業が対象ゆえに、中小企業やベンチャーで働こうとする人材とは指向するものが違うかもしれないが、経営努力の方向性を示すものとしてすべての企業で参考になろう。
高得点を得た企業では、社員の意欲に応える制度として
・社内公募制度(会社が必要とするポストや職種の要件をあらかじめ社内に公募し、応募者の中から人材を選抜する仕組み)
・FA制度(自分が希望する部署を選択できる制度)
・管理職への若手や女性起用
などの施策に本腰をいれている。
特に社内公募制度やFA制度などは中小企業でも応用版ができるはずであり、研究すべきだろう。
http://www.human-support.net/bn18.html
また、少子高齢化社会の影響は企業人事にも及ぶ。
育児休暇や介護休暇などの制度を充実させることは、女性だけでなく男性社員ものぞんでいる。
「うちにそんな大企業のような制度はムリ」と決めつけてはいけない。
どうしたらその制度が可能になるかを考えよう。そして、社員への仕事の要求水準の高さと抱き合わせに、こうした制度を充実させることを目標設定していこう。
総合第二位の松下電器産業もおそるべし。
従業員一人あたりの研修費用は458,000円にものぼる。二位が350,000円台、三位が200,000円台なのに比べ、際だっている。しかも、今後はさらに研修予算を増やす方針だという。
この金額、成長盛りの中小企業でもこれだけの金額を予算計上できている例は少ない。収益力の乏しさから、人件費の支払いだけで汲々としている企業はいち早くこうした間接人件費に予算が回せるよう努力したい。
最後に。
あなたの会社の人事制度は、いつ作ったものだろうか。弾力的で時代に適応した人事制度は毎年のようにリニューアルされていくべきだと私は思う。そのリニューアルにあたっては、社長や経営陣だけで制度設計するのではなく、(優秀な)社員の意向が反映されたものであるべきことは言うまでもない。
総人件費予算の枠内に於いて、最高の働きやすい会社づくりをめざそう。それは、酬いのある挑戦である。