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クラゲ債の完売続く

山形県の日本海側、南部にある鶴岡市。人口は 13万人で、自慢は、東北で最も面積の広い市であること。ちなみに全国でも 7位という広さで、信仰の山・出羽三山をもっている。庄内米や酒、魚がうまく、郷土名物の「麦きり」の専門店は市内のいたるところにある。

そんな鶴岡市が昨年発行した「クラゲ債」が話題になった。同市のクラゲ水族館を改修する費用の一部を公募債として一口 10万円で売り出したところ、わずか 20分で予定額(3億円)に到達し、完売してしまったというのである。

「クラゲ債」の満期は 5年で、国債利回り+ 0.266%(年 0.536%)という利率なので、それほど高いわけではない。では、何が完売の原動力になったのか。債権購入者は、もれなく改装したばかりの新水族館の内覧会に参加できるほか、抽選で 50名に「オリジナルグッズ入り加茂水族館クラゲ・ドリームバッグ」も当たる。そうした特典も魅力の一部には違いない
が、なによりも同水族館が市民から愛されていることが大きな原動力になっていると考えられる。

★第一回クラゲ債(完売)
http://bond-purchase.biz/kokyosaiTsurruokaCity1.html

気を良くした鶴岡市では、今年に入って第二回の公募債を発行した。今度は発行額を倍増し、6億円にした。しかし、それでも応募者は殺到し、予定額を超える申し込みがあったため抽選となった。行政が発行する公債が抽選結果待ちになるなど、いままで聞いたことがない。

★第二回 クラゲ債も完売
http://www.city.tsuruoka.lg.jp/010400/page7310.html

この水族館の正式名称は鶴岡市立加茂水族館という。

鶴岡市の加茂港付近の日本海に面した断崖絶壁に建っているそうだ。1930年(昭和 5年)に山形県唯一の水族館として有志によって設立され、後に、山形市に譲渡された。1968年(昭和 43年)の来場者 21万 7,372人をピークにじり貧となり、1997年(平成 9年)には、過去最低の 9万人とまで落ち込んだ。

同館の村上龍男館長は手をこまねいていたわけではない。来場者減少に歯止めをかけようと次々に手を打った。まず、イルカショーを導入したが不発だった。次にラッコショーを取り入れたがそれでもファミリー客は集まらなかった。97年に 9万人になったとき、いよいよ閉館に追いこまれそうになった。そんなある日、サンゴ礁の水槽にクラゲが発生しているのを見かけた。その様子がいかにも、のどかで癒やされる。クラゲをいくつか集めて展示してみたところ、客が戻ってきた。

2000年には、クラゲ展示室をつくって日本最大のクラゲ展示数を誇るようになった。(12種類)2005年にはクラゲ展示室をリニューアルし、世界最大のクラゲ展示数になった。(21種類)好みは分かれるところだが、加茂水族館に併設されているレストランでは、めずらしいクラゲ料理の数々があるらしい。新鮮な(?)クラゲがいただけるとあって利用者も多いそうだ。

昨年 3月、同館の来場者は 27万人を突破した。もちろん過去最高である。名物館長の村上龍男氏(75)は来年 3月に、勇退することが決まっている。クラゲともども館長にも会いたい場合は、それまでにどうぞ。私も一度行ってみたい。

★鶴岡市立 加茂水族館 http://kamo-kurage.jp/
(JR 鶴岡駅からバス・タクシーで 30分、庄内空港からなら 20分)

あなたの会社にとって「クラゲ」に相当する物はなんだろう。また、「クラゲ債」の発行に相当することはなんだろう。