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未来を思い描く

Rewrite:2014年3月26日(水)

知人がある会社を訪問した。仮に「山田産業」としておく。近くまで来たのだが所在地が分からなくなり、通行人のビジネスマンに道を尋ねた。すると、そのビジネスマンは「山田産業は私の勤務先です。すぐそこですからご案内しましょう」と同行してくれた。歩きながら知人は、「おたくはどんな会社なのですか?」と聞いた。すると、ビジネスマンは一瞬間をおいたのち、こう言ったそうだ。

「夢のある会社です!」

なかなか言えるセリフではない。

会社には、会社案内の冊子やホームページがある。それらを通して我社の過去と現在を手短に伝えることができる。ところが会社の未来を詳細に述べた冊子やホームページというのはあまり見たことがない。経営計画書の中で、χ年後の姿を数字と文章で表現することだけでは充分とはいえない。

夢と希望に満ちあふれた明るい未来を、会社案内やDVD、ホームページでありありと表現してみてはどうだろうか。出来ればそれはストーリーがあるほうが望ましく、社員のアイデアもくみ入れたものが理想だ。

愛知県豊田市に本社をおく健康食品製造のT社では、10年後の我社の姿を小説にした。
B6版サイズで50ページほどのものだが、吉田社長が半月ほどかけて書いたもの。私も読ませていただいたが、10名ほどの社員全員が随所に登場し、それぞれの部門で大活躍している姿が活き活きと描写されている。社員にスポットライトが当たった「未来小説」であり、これを経営計画発表会で配布したところ、社員は計画書よりも、こちらにくぎづけだったという。

経営計画書の内容は、その未来小説を実現するための方法論だ。
私たちは日々、問題発見とその解決に悪戦苦闘をくり返すが、たまには目的や理想を確認しなければならない。そうした意味で、「未来小説」がもつ意味は大きい。動画を使った「未来映画」というものがあってもよい。映像の方が情報量が多く、イメージとして定着するからである。

何なら社員から「我社の未来」をレポートや小説、マンガ、動画などで募集してはどうだろうか。景品に海外研修旅行やスマートフォンなどがあれば参加率が上がること必定である。

「かくありたい」という姿を文字や映像にする能力は想像力の分野だ。マイクロソフトのビルゲイツ会長に富をもたらした最大の要因は、この想像力であり、技術なのではない。経営者に求められることは、社内から想像力を引き出すことなのだ。あなたも今からハリウッドの映画監督になったつもりで、ダイナミックな脚本と絵コンテで、あなたの会社の未来映画を作ろう。ジョージルーカスやスピルバーグ、黒澤明に出来て、あなたに出来ないはずはない。誰よりも真剣に会社の未来を考えているのだから。