※8/8号の「がんばれ社長!」で、真のインターナショナルな日本人は大山増達だと書きましたが、正しくは大山倍達です。お詫びして訂正します。
●同じく8/8号で「仕事と家庭のバランスについて」書いたところ、予想以上に多くの反応メールが届いている。ご紹介したH氏と同じような課題をもっている人が多いということだろう。
●まずは批判的なメールを一通ご紹介しよう。
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武沢さんは、他人の優先順位に関与できるものではないと思います。H氏の悩みは優先順位どおりの時間をすごしていないからであり、きっともっと子供と沢山接していたいのでしょう。にもかかわらず、「子供も会社も同じだ」として子供と会社を対等に扱うべきであるかのように断定するには無理があると思います。
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●また、株式会社アールシーワイ・ビジョンの石原亜矢さんからは、次のようなメールを頂戴している。
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そのH社長さんは人間として当たり前のことを言っているだけで、当然です。社長となったからには、人間として当たり前のことが出来なくなることも当然です。それを含み置いたうえで、会社の代表をやっているわけですから。
しかし、もっとポジティブに考えませんか?
子供と一緒にいる時間を作りたいならば、職場と自宅を近くにすることも不可能ではありません。この社長さんが男性だと思いますが、自分が遅く帰っても、奥様だけに家事や育児が集中しないような軽減措置を考える(食洗機をつける、ベビーシッターを雇う)など、社長だからできることはありませんか?お子さんがもう少し大きくなったら、仕事の忙しくないときに、子供に会社を見せる職場見学会を催したりできませんか? そうすることによって自然と、社員は、うちの社長は子供を大切にしている、子供を持った社員の気持ちをわかってくれている、と感謝するかもしれませんし、働きやすい職場と評価するかもしれません。人材の定着につながりませんか?
忙しいから家庭をかえりみないなんてナンセンスです。会社が大きくなってやれやれリタイヤ、これからは家族と一緒に、と思っても、当の家族の心がすでに離れていては、一体何のためにやってきたのか?
頭とお金を使って解決できることがあるはずです。
以上つづってみましたが、私も完璧にこなしているわけではなく、自問自答しながら、家庭との両立に苦しみながら経営している、一女性経営者です。
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株式会社アールシーワイ・ビジョン http://www.rcyvision.co.jp/
石原さん、ありがとう。他にも多数のメールに感謝したい。
●私も少し補筆しておきたい。
8/8号の主旨は、小市民的なサラリーマン根性を捨てろ、という意味だ。私がH氏に感じた、目先の小さな幸せを大切にしようとするあまり、大きな社会的なにかを見失って生きていく生き方に警鐘を鳴らしたかっただけである。
経営者という立場は、サラリーマンやOLと同じではない。顧客や従業員、取引先の数だけ社会的責任を負っている立場である。責任は重い。また、同時に夢もあるはずだ。サラリーマンやOL以上に自由度が高く、新しい世界を作ってゆける楽しさもある。
H氏は、親の後を継いで今の会社に入社したわけだが、会話の節々にサラリーマン根性を感じた。来年も再来年も今のまま会社はあるんだ、という前提に立っているようでは危険だ。そんな安泰意識があれば、やがてそれが敏感に社員に伝わる。
また、このことは“経営者は家庭を犠牲にして良い”という意味ではない。
経営とはそもそも矛盾解決業。相反することを同時に満たしながら前へ進んでいくもの。あっちを立てればこっちが立たずと思える時にも、知恵を使って両方を同時に成り立たせねばならない。
決断を下すのはH氏本人だ。その決断は尊重せねばならないが、私としては、彼の決断に必要な視点をいくつか提供したまでである。