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中国筒井レポート その1

●「大企業の中国進出ノウハウは参考にならない。いや、参考にしようとしてはならない。資金もノウハウも人材も違うのだから。中小企業や零細企業にはそれにみあったやり方がある。」と言う。今日は好物の鉄板焼きを目の前にしているせいか、氏は饒舌だ。


●「武沢さんね、早いスピードで世界はひとつになろうとしている。たとえ日本国内だけでビジネスをすることになろうともだ、世界がいまどうなっているかを定期的にその目で観察していないとダメだね。おっと、今日は酔いが回るのが早いかな。」

●「あっという間に知識や技術は陳腐化する。不勉強な会社は、3~5年で時代に取り残されることになるだろう。いや、もう勉強や調査の段階ではない。行動の段階、それも迅速な行動の段階だ。」と語るのは、香港トレーダー・太陽商事有限公司の筒井修社長(60才)だ。

氏は、香港貿易発展局の顧問をつとめ、日本と中国の間をとりもつコンサルティングから実務指導などで獅子奮迅の活躍をされている方だ。地元が同じ名古屋というのも手伝って初対面で意気投合し、定期的に情報交換させていただいている。


●「日本人だから、東京に住んでいるから、という国籍や居住地に対して給料が決まる時代は終わった。国籍がどこで、どの街に住んでいるかは関係ない。大切なことは何ができるか、という一点であり、それに対して給料が支払われる。」

「つまり、今の値段の半分で同じものを作り、今の経費の半分で会社を運営するというような大胆な改革をあなたの会社が自らやらない限り、早晩、他の会社がそれをやってあなたを時代遅れにする。ローコスト経営と高付加価値経営は車の両輪であり、そのために世界的な視野で街を見、人に会い、会社を見てこないとダメなんだ。」


●その筒井社長の引率で私は8月下旬に広東省と常州市へ飛ぶことにした。日本企業が勇躍外国に進出し、成功していただくことは私の夢のひとつだ。このツアーには、何人かの友人もお連れするつもりだ。

ちょっと図々しかったが筒井社長に次のようなお願いをしてみた。

「日本の中小企業が中国ビジネスで成功するためのインスタントマニュアルを『がんばれ社長!』に投稿して下さいませんか?」というお願いだ。快諾いただいただけでなく、わずか三日間ほどで次のようなメールを頂戴した。

以下、「中国筒井レポート」をお届けする。

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今回は、中小零細規模の製造業が、委託加工生産で中国進出をはかることをモデルケースに意見を述べます。

1.原則

・中小企業の中国進出の基本は、リスクを最小限にするため、現地資産を持たない委託加工生産をお薦めします。(工場も従業員も郷鎮企業からの借り物で始める)
 
2.中国の好立地(製造業)

 「広東省」・・・中小企業向け 
 「大連、上海近郊」・・・大企業向けとお考えになって良いと思います。

3.進出の手順

・まず香港に現地法人を設立します。資本金は2香港ドル(32円)で会社が設立できます。その会社で輸出入のコントロールをするのです。スタートの段階から中国国内に法人設立をする必要はありません。

4.仕事の運用

・設立した香港企業を下請けとして現地生産する形をとります。そのまた委託先工場(広東省)に製造を依頼するのです。
 この場合、中国側の受け入れ工場は、総て広東省の郷鎮企業(村企業)です。
 
・製品輸出を条件に部品、原材料、設備機械など総て免税輸入します。

5.郷鎮企業の特質

・中国側受け入れ企業が郷鎮企業(村企業)である。
・広東省は役所、市や村の(郷鎮企業)が重要顧客である外資側に立って考えてくれます。
・輸出入ライセンスを持ち、役所との交渉、ワーカーの手配も郷鎮企業が行ないます。

6.香港の役割

・税金が安い・・(法人16%、個人15%)。相続税も子供を株主にして無料の相続可能です。
・必要経費が大幅に認められている。税務署は納税書類を会計士に委託している。
・キャピタル・ゲインの非課税株で利益を出しても税金がかかりません。
・ペパー・カンパニー毎に不動産(動産)やゴルフ会員権などが所有できます。
・お金の出し入れが自由、国際ルールに守られた法遵守。
・香港の会社を利用して、中国内の物流が書類だけ輸出入手続きをし、現物は中国内を移動する事が可能です。
・実質、中国内販売が可能となる。・・決済は総て香港で、中国内取引きとして処理する。
・HK.TDC(香港貿易発展局)の情報網を活用し企業を選択する。
・HK$2(二株)の会社を設立。資金は総て株主からの借り入れとする。
・会社に利益が出れば、株主に借りた金を返済する。返済金は所得ではないので、課税対象外である。利益配当は1株百万$でもOK。

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筒井さん、ありがとうございました。紙面の都合で後半は明日にします。続きは、華僑商法の鉄則と、中国での会社経営上のポイントをお届けします。