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経営者と政治との関係

●ラスベガスで成功している和食レストラン『浜田』の浜田社長が私に対して次のように語ってくれた。

・・・残念なことなのですが、せっかく優秀な経営者でありながら消えていった方の大半が、実はカジノで身を滅ぼしている。最初は100ドル程度のお遊びから始まるのでしょう。でもやがて200ドル、そしてあっという間に10,000ドルになるんです。気づいてみたら事業のお金にまで手を出す。そうして消え去っていった方々を見ていて私もある日、きっぱりとカジノをやめました。
・・・

●24時間眠らない街ラスベガスでは、文字通りいつでもどこででもカジノが楽しめる。しかもカジノ内では、お酒もタダ同然で飲めるし、カードがあればお金はすぐに貸してくれる。儲かればすぐに換金でき、素敵な女性が「You are lucky!」とか「Nice machine!」とか誉めてくれる。そんなとき、気分は最高だ。

私も100ドル挿入して回していたスロットルマシンで、わずか2分後には330ドルを手にしていた。いつもこうなら、決して悪くない遊びなのだが。

●その魅力こそが誘惑であり、やがて魔力となる。

昔から遊び人のことを“飲む・打つ・買う”というように、経営者はこうした様々な誘惑との接し方をコントロールしなければならない。だが、「がんばれ社長!」はそんな常識的なコメントを発するためにあるのではない。“飲む・打つ・買う”と同じような誘惑が、政治活動にあると私は考えている。それはどういうことか。


●政治の話題が大好きなA社長は、社交の場で必ず周囲の人と政治の話題をしたがる。曰く、

・石原総理誕生はありうると思うか?
・愛知万博の意味はどこにあるとお考えか?
・公害化しているカラスの大群の対策は?
・少子高齢化がこのまま行くと日本はどうなると思うか?
・タマちゃんを追いかけるマスコミと国民をどう思うか?
・・・etc.

初対面の二人が親しくなるきっかけとしてこんな話題を持ち出しているのだろうが、聞かれた方は回答に困り、かえって質問攻めが負担に感じる。

●こうした話題が大好きなAさんは、時には相手と熱い議論になることもあるらしい。私は、こうした政治的な会話の仕方は時間のムダだと思う。ビジネス的・経営者的に世の中のことを捉えるべきだ。それはこうなる。

・2005年の愛知万博開催をチャンスと捉えるならばどんなビジネスの可能性があるだろうか。
・少子高齢化がますます進むと、どのようなビジネスチャンスが拡大するだろうか。

●私が反対する政治的活動とは、

1.経営者同士が今ここで議論しても意味がないことを議論すること
2.国家や地域をよりよくするための政策を考えることに熱中し、自分個人や我社のことはおろそかになっていること
3.つまり理想的になること

であり、避けたいことだ。

●私が賛成する経営者的活動とは、

1.今起きている現実に対して悲憤慷慨せず、ありのまま受け入れ、そこからビジネスのチャンスを見つけようとすること
2.つまり現実的になること

●“飲む・打つ・買う”と“政治への熱中”は、限りなく等しい、というのが今日の主張である。