小学生の時、映画『黒部の太陽』(三船敏郎、石原裕次郎出演)を見て、困難に負けずにトンネルを掘り進む男たちの姿に憧れた。世紀の難工事といわれた黒部ダム建設にまつわる実話であり、株式会社熊谷組がモデルになっていた。降籏さんは「これこそが男の仕事だ」と思い、大学で土木を専攻し熊谷組に入社した。
そんな降籏さんは今、ハタコンサルタントという建設専門のコンサルタント会社を経営しておられる。その活動の様子をご紹介したのは今年の2月10日号で、こちらにそのときの記事がアップされている。
その降籏さんが、今週、日経 BP 社から新しい本を出された。タイトルは『その一言で現場が目覚める』というもの。
「ものも言い様で四角も三角」というが、いくら大事なことを伝えていても言い方が悪かったら伝わらない。降籏さんが長年、建設業界の現場第一線で指導してきたなかで感じることは、その一言が言えるリーダーと言えないリーダーの差であるという。
「ゴールを征服したのはシーザーに率いられたローマ人であり、単なるローマ人ではない」という言葉があるが、現場を率いるリーダーの言葉ひとつでそのチームや組織が浮いたり沈んだりするのだ。
私もさっそく読ませていただいた。
まず目に飛びこんでくるのは、二色刷でカラフルなので見やすいこと。しかもイラストと会話の事例がふんだんに使われているので、現場の管理者向けに書かれていることがあきらかに分かる。
内容は、建設現場のリーダー向けに書かれてはいるが、たとえば製造業やサービス業など他の業界の現場リーダーにもそのまま通用する内容だ。
部下指導、部下育成のためのコミュニケーションスキルがこの一冊にある。それをコミュニケーションの専門家が書いているのではなく、自らも会社を率いる経営者が書いている点が斬新である。
降籏さんに先週末お目にかかったところ、こんなことを話しておられた。
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結果を出し続ける組織は、先見性のある戦略を出して具体的な戦術に落とし込み、それら戦略・戦術を現場レベルで実践しています。その実践には、現場で働く人たちが当事者意識を持ち、自分で考え、意見をぶつけ合い、汗をかき、努力を続けることが欠かせません。
しかし、このような現場を作ることは実際には難しいものです。現場の人たちに当事者意識が低く、自ら考えることをせず、他の人との摩擦を避けて徹底した議論をしないことが多いからです。
「強い現場」に共通する特徴とは、現場内でコミュニケーションが活発なことです。戦略・戦術が明快に伝わり、それに対してお互いが唾を飛ばして議論し、納得した上で実践されています。そこで大切なことは、リーダーが節目節目に発する「一言」なのです。
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なお、本書の一部が YouTube 動画に「その一言で現場が目覚める」として紹介されています。
強い現場を作るために、強い現場リーダーを作るために、動画も併せてチェックしてください。
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