社長にとって、経営計画書を作り、それを発表することはもっとも大切な仕事である。だから大変な労力を割いて計画書を完成させ、発表会を無事にやり終えたあとの安堵感と達成感はこの上ない気分であろう。特にはじめてそれを経験した社長ほどその感激は大きく、人によっては何日も余韻にひたってしまうほどである。
だが、落ち着いて考えてみたら分かるが、経営計画書を作ることや発表会を開くことは目的を実現するための手段に過ぎない。大切なことは、理念に沿って会社を継続改革し、業績を伸張させることである。経営計画書はそのための作戦書に過ぎない。
むしろ、勝負は、経営計画発表会の翌日からおこなれる社長と社員の粛々とした日常業務にある。それが計画実現に向けて一直線になっているかどうかが勝負どころなのだ。
計画が実現されるような仕事の仕組みに変えていくために、私自身はパソコンはもちろんのこと、iPhone や iPad などのデジタルツールを活用している。昨年暮れに iPad mini を手に入れてからは、いっそうデジタルマネジメントに拍車がかかってきた。紙の手帳との融合も充分できる。
以下、Apple社の iPhone、iPad、iPad mini のアプリ名で解説するが、他社の製品やアプリでも同様のことができるので探してほしい。
1.リマインダー
呼び出し通知機能がついた To-Do アプリなのだが、これを上手に活用することによって、経営計画書に書かれた多数のプロジェクトをタスクレベルまで落とし込んでいくことができる。一例として、私の場合、「eラーニングで今年中に1,000ユーザの受講者を集める」という目標があるが、それを例にとる。
この目標はひとつのプロジェクトでもある。これをサブプロジェクトに分けよう。すると「企画開発」「制作」「マーケティング」「アフターフォロー」の四つのサブプロジェクトが必要だ、となった。さらに、それぞれのサブプロジェクトはどんなタスク(作業)が必要なのかを考えてみたら、30分後には合計で 19個のタスクが出てきた。そのタスクひとつひとつに期限と担当者とメモが付く。それを入力していくと、その日のその時間が来たらそのタスクに取り組むように画面表示される。これを複数の目標やプロジェクトで行うと、日常業務のなかに、どんどんプロジェクト業務が浸食してくるようになる。
そのとき、「そんなのとてもやれないよ」と思うのか、「それをやるためには時間をどう捻出すべきか」と考えるかが重要な分岐点で、後者のような発想をもつことが計画実現に欠かせない。
日常業務もリマインダーで管理する。目標やプロジェクトのタスクもリマインダーで管理する。すると、日々の時間活用の全履歴がリマインダーに残る。それを上司と部下、あるいはチームで共有することによって、仕事の進め方や時間の使い方にまでメスが入るようになる。
暗黒の大陸、時間の使い方に斬り込む「リマインダー」は必須アプリである。
2.Evernote
Dropbox と並んで世界中に愛用者が多いアプリだが、情報やアイデア、記録のデータベースとして最強のものだと思う。Dropbox との違いを聞かれることがあるが、使い始めたらまったく別のものと気づくだろう。両方必要なのである。
Evernote の場合、「ノートブック」の中に「ノート」を作っていく。
ノートは文字でも画像でも動画でも音声でもよい。添付ファイルを貼ることもできる。
情報過多の今日、あなたの知的データベースをスマホやタブレットにもつことは極めて重要だ。
今回の「本気講座」では、経営計画実現のための Evernote 活用術を解説する。
3.ATOK Pad
Evernote と連携させて使う、大変便利な文字入力アプリ。一年、一月、一週の目標を毎日確認するために使うもの。毎週○曜日に行う週次レビューの記録もここで閲覧する。
4.Ritual(リチュアル)
儀式や慣例と訳される「Ritual」。毎日朝晩チェックするもの。「それをやったか、やらなかったか」という選択以外に、数字入力もできるので日々売上げ予定と実績を入れることで予実管理も簡単にできるようになる。これは重宝するアプリである。
その他、PDCA 管理を手助けするアプリ以外にご紹介したいものがいくつかある。だが、第一目的は経営計画書や個人目標の進捗管理にスマホやタブレットを活用することである。それに敵うアプリを使うことが重要なのだ。今年の「本気講座」では、昨日お届けした成功意識作りというテーマの他に、こうしたメニューもお届けする。
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一講「会社経営と本気の経営計画」(91分)
二講「経営理念、経営方針を決める」(57分)
三講「顧客を創造する6つの視点」(81分)
四講「利は管理にあり 人と組織を作りあげる」(67分)
五講「経営計画の発表とその後のフォロー」(57分)
合計353分
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