株式会社 SMC の代表取締役・松田龍太郎さんは、主にドイツで活躍されている経営コンサルタント。特にものづくりの現場で改善を指導されることが多いそうだ。日本に戻られたときには、地元(鳥取)の起業家に手弁当で経営を教えるので、鳥取に松田さんを慕う若者は多い。
氏の Facebook には次のような記載がある。
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誕生日: 1953年11月20日
見えないものを見えるようにする経営コンサルタント。
ヒントは出すが答えを教えないちょっといやらしいコンサルタント。
ユーモアと情熱溢れるコンサルタント。
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そんな松田さんからちょっといやらしいクイズが 5問届いた。正解もあわせて掲載してあるが、いきなり正解を読まずにまずあなたの回答を紙にメモしておいてから正解を読もう。
問1.1円玉の直径は何ミリか? 実物を見ず、測定もせず、直感で答えてみて欲しい。
問2.1000円札と1円玉はどちらが重いか?
問3.醤油差しの金魚について
お弁当についている醤油挿しはどのように使われていますか?
A:キャップを捻って、キャップを外し、醤油を惣菜にかけたあと、そのキャップを金魚の口に閉め直してから、おもむろに食べる
B:同様にキャップを外すところまでは同じだが、このキャップはもう使うことがないので、そのまま置いて食べる
C:その他のやり方で醤油を使う
あなたが普段やっている姿を思い出して正直に答えて下さい。
問4.シュガースティックの問題
シュガースティックも3g、4g、6gなど様々なサイズがありますが、6gのものでお話をしましょう。この目的は、コーヒーに甘味をつけて飲みやすくすることです。従いまして、素早く封を開けてカップに入れるまでの時間をできるだけ短くしようと考えましょう。さて、仮に6gの砂糖を全てカップに入れるという前提で、皆さんは普段、どのようにしていますか?
問5.新聞紙の厚みは0.09mm、それを 26回折りたたむと何センチ(何メートル)になりますか?
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《正解》
正解1.13ミリ、15ミリの答えが圧倒的である。だが正解は、20ミリと意外に大きい。皆さんは、1円玉を過小評価している可能性があります。かつて、23ミリという答えを出した人が 2人います。スーパーの社長と主婦でした。皆さんは毎日のように 1円玉を見ているのですが、ただ見ていただけであって観察してはいなかったことが分かります。もし正解者がいれば、よく観察していると褒めてあげましょう。そして、「では厚さは何ミリですか?」と聞きましょう。1円玉の厚み、正解は、1.5ミリ。1枚では、ものさしで測定出来ないが、2枚とか 10枚を重ねてみると 3mm、15mmとすぐに分かる。物事を 1個所で見るだけではなく、多くの方向から見ると見えなかったことが、見え始めるのです。
正解2.実は、同じ重さに設定してあり、約1gです。1円玉は、0.996~0.997gに設定され、札の方も同じなのですが、使っている間に擦り切れてしまい軽くなる。ちなみに 1000円札の寿命は、約1~2年。5000円と10000円は2~4年くらいで銀行が交換しています。
正解3.今までの結果は、Aが8割、Bが2割でした。その他の Cの方法では答えはありませんでした。正解は「C」です。皆さんの目的は、早く無駄なく醤油をかける事としますと、A の方法ですと、キャップの取り外しと締め付けに約8秒要しています。一回キャップを捻る時間は、約1秒かかります。B の方法ですと、その半分の約4秒です。ムダが半分になっています。私はどうしているかと言いますと、キャップは一回捻るだけです。それで、必要な量は指で金魚を押さえながら調整します。もし、足らない場合は押さえていた指を元に戻せば、空気が入りまた指で押さえれば、必要分が出てきます。こうすれば、醤油を出すのに約1秒。使わなくなれば、そのまま置いていてももれることは有りません。これは、金魚とキャップの成型の関係であまりきっちりしていないことにより、一回緩めただけでも必要分は出すことができるのです。私のやり方ですと、約7秒早く弁当を食べ始めることが出来ます。何だそんなことと思われている方が随分おられるかと思います。しかし、皆さんの現場はこんなムダがたくさん有りすぎて逆に分からなくなってしまっており、気付くことも出来なくなっているのが現状だと思いますが、いかがでしょうか?
正解4.恐らく皆さんはスティックの先端を破り、その反対側を持って注いでいると思います。それに要する時間は、約4秒。さて、その時間をもっと短縮する方法はありませんか?正解は、真中から半分に折ってしまえばよい事がわかります。その場合の時間は半分の2秒よりさらに短い約1.5秒となります。それは、スティックの中央が膨らんでいるからです。中の砂糖が排出されやすいためです。先端から排出されると、出口が狭いことと反対側までの距離が長いため時間がかかっていたのです。また、空になったこの袋は、必ず一体化しており、2つのゴミにはなりませんのでエコの問題もありません。
正解5.人の背丈ぐらい、という答えが一番多いようです。しかし違います。
正解は、y=0.09×2の26乗ですから、約6,040mとなり、富士山よりもはるかに高くなってしまいます。ちなみにコピー用紙は0.1mmあり、それを40回繰り返して折りたたむと地球から月まで届いてしまいます。小さなことも繰り返してゆけば、大きな改善、改革につながっていくということでもあります。
回答者:株式会社 SMC 松田龍太郎
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改善の視点が楽しく理解できたような気がします。松田さん、ありがとうございました。