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続・猛暑関連

7月29日(月)、ガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下「ガンホー」)が発表した 2013年 12月期の上半期決算値は、連結経常利益が前年比 42倍の 453億円と驚異的なものだった。

その理由はひとえに同社のゲームアプリ「パズル&ドラゴンズ」(通称:パズドラ)の大ヒットのおかげである。日本国内で 1700万ダウンロードされた他、韓国や北米などでも好調だという。

その日、ガンホーの株価は 11万円だった。翌日からどれだけ株価が上がるのか注目していたが、予期に反してその後の三日間下がり続けてしまった。11万円あった株価が三日間で 67,100円まで下げ、下落率は 4割近くに及んだのだ。日経平均株価が軟調な時期と重なったせいもあるが、それにしてもこの下げ方は異様である。
→ http://news.finance.yahoo.co.jp/detail/20130730-00000047-stkms-stocks

報道によれば、「サプライズがなかった」「好決算はすでに織り込み済み」「新しい話題が提供されなかった」ということらしい。会社が発表する業績予想数字とは別に、証券各社のアナリストがそれぞれ独自に企業の業績予測をしている。その予測の範囲内であれば仮に好決算を発表したとしても「材料出尽くし」として売られてしまうのが情報化時代のマーケットなのである。

一方、昨日ご紹介した「スターバックス・コーヒー・ジャパン」は猛暑の影響で氷菓ドリンクが好調。決算見通しの上方修正を出したが、こちらは素直に評価されて株価は上昇した。

株価はその会社の近未来を表すものといわれるが、株式市場において大切なことは、過去や現在よりも近い将来なのである。「ガンホー」の場合、6月までの上半期は申し分なかった。だが、それは済んだこと。7月以降の下半期にパズドラが頭打ちになって業績も伸び悩むのではないか、という投資家の疑心を払拭するような発表ができず、売り込まれる結果となった。

一方、スターバックスは第一四半期が済んだ段階で早くも通期目標の上方修正を発表し、それがサプライズとなった。しかも今期以降の近未来戦略も確かだ。

・店舗純増ペースを年々加速している。(今期 45店、前期 30店)
・客数も増加し、既存店がプラス成長している。
・会社計画は既存店が減速する前提で予算化されており、目標値は保守的なものである。
・連続して最高益を更新しており、増配予定もある。
・今後の成長戦略として郊外にドライブスルー付き大型店を出店の柱にしていく。
・電子看板やカメラなどIT機材を導入し注文の効率化を推進する予定がある。
・住宅地向けに高価格店を東京・世田谷に実験出店し、新しい「スタバ」を創造する取組が行われている。
(会社四季報より)

今日の話題は株式市場のことではない。

評価される経営とは、今期の業績だけでなく来期以降の新しい勝ち方を明示するような計画を打ち出すことである。経営計画書の内容を年々進化させ、社員や取引先に「株を買いたい」と思わせようではないか。