まず結論から。
読書について大切な視点は、
・何を読むか(読書のジャンル)
・いかに読むか(読む時間の確保と読み方の技術)
・いかに役立てるか(読後の思考と、内容の応用実践技術)
である。
さて、冒頭のヴェーバーの言葉とほとんど同じことを、かのハウエルも言っている。『読書について』(ショウペン・ハウエル著、岩波文庫)の一節によれば、
・・・良書を読むための条件は、悪書を読まぬことである。人生は短く、時間と力には限りがあるからである。・・・
とある。
さらには、次のように続く。
・・・「反復は研究の母なり。」重要な書物はいかなるものでも、続けて二度読むべきである。それというのも、二度目になると、その事柄のつながりがより良く理解されるし、すでに結論を知っているので、重要な発端の部分も正しく理解されるからである。・・・
ならば、ハウエルが指摘する“重要な書物”とは何を指すのか。彼の著作ではそれは古典だとされる。だが、経営者が古典ばかり読んでいてそれで充分とは思えない。最新の経営知識や先端情報なども仕込んでおきたい。どのようにバランスをとるかがポイントだ。
そこで、一度ふり返ってみよう。あなたが本屋へ行ったとき、どのように店内を循環するかだ。多くの方が、ビジネスの新刊コーナーしかチェックしていないという事に気づくはずだ。そこで面白そうなものだけを買っていては、いつまでたってもロングセラーや精神の啓発につながる読書はできない。今回の「読書考」のきっかけとなった一通のメールに立ち返ろう。
読む本にもよりますが、行動力が減少することと理屈重視になってしまうことだと思います。よく起業家志望の学生に会うのですが、理屈ばかりで、頭でっかちになっている人が多く見られます。そういう学生に良く、「起業するのに、本を読む、それはプロ野球の選手になりたい野球少年が、必死にルールブックや野球の技術の本を呼んでなるほど、脇を占めて、腰の回転で打つんだ。とかっていってるようなもんで、そんなひまがあれば、素振りしなさい。」とか、偉そうなことをいってしまっています。また、経済の本や経営学の本で、学者さんが書いていたり実際に会社経営をした事の無いコンサルタントや作家の本があったりします。
ぜひ、ただしい読書の仕方というのをメールマガジンにてご教授いただければと思いメールを出させていただきました。
“読書”と“行動”とは敵対する関係であり、我々は読書人を目指すか、行動人を目指すかの二者択一を迫られている、というような錯覚があってはならない。
読む力と行動する力との相関関係は何もないはずだ。むしろ、読む力と考える力とは正比例すると思う。読むからこそ思考する力に奥行きが生まれるのだ。なぜなら、読んでいる時に、すでに考えているからだ。
・自分や自社に置き換えたり同化させたりして読む
・新しい知識を理解しようと頭をフル回転させて読む
・批判しながら読む
・自分の肥やしにしよう、暗記しようとしながら読む
・ビジュアライズ(情景を思い浮かべ)しながら読む
つまり、読むことは考えることであり、想像することである。考えることや想像することが目的実現のために向けられた建設的なものであるかどうかが大切だ。決して自己逃避のための読書になってはいけない。
思考密度が細かくなるのが読書人の特長で、本を読まない人はそれが雑なのだ。骨にも骨密度なるものがあるように、人間の思考にも密度がある。
思考密度が高いと、経営の管理サイクル、P(計画)→D(実行)→C(チェック)→A(行動)が機能する。思考密度が雑だと機能しない。
「がんばれ社長!」では、「自己対話の時間を持とう」と提唱してきた。できれば、一日最低一回は一人になれる環境で自己対話しようと訴えてきたのだ。こうした規則的な時間のなかで読書(良書の)とその後の自己対話を行うのだ。本は買い求めることが出来ても、それを読む時間までは購入できない。また、本の内容を咀嚼し、実践するに至るインターフェースは買い求めることができない。それはあなたにあった最適なシステムを自ら構築していくのだ。