Rewrite:2014年4月4日(金)
<前回のつづき>
「カーアフター・マーケット」と呼ばれる市場の規模は10兆円ほどで、その内訳は、車検2.3兆円、板金・塗装・修理・点検で4兆円、カー用品と電装部品などで4兆円、合計で10兆円を超える。マクドナルドの藤田社長が『ユダヤの商法』で「目の前にチャンスあり」と書いたが、小林社長にとってもまさしく目の前に宝の山があることに気づいた。
いよいよ本格的に「車検のコバック」のFCビジネスが始まった。
加盟料やロイヤリティをどうするか、かなり研究を重ねながらも最後まで悩んだという。
「いろいろと変遷はありましたが、ギブの精神で格安にしています。加盟料50万円、ロイヤリティは定額制で月5万円に設定しています。指導料と調査料が別途に必要ですが、スタートして間もないころよりもだんだん下げてきています。FCに加盟するくらいなら自分でやる、といわれるプロの誇りを持たれた“頑固おやじ”のような方々が私たちのパートナーです(笑)。全国展開するまでの経緯は容易ではありませんでした」
「しかし、FC加盟されると売上げが2倍から10倍にもなりますし、現金回収が可能なシステムですので、ほとんどクチコミで全国に広げることができました。まだ一県に一店しかないところもかなりありますので、まだまだ店舗展開は可能です。今の『車検専門店コバック』だけで、2020年までには1000店舗を計画しています」(2016年5月現在460店強)
車検整備業界は規制緩和が進み、競争の激しさが増している。コバック以外にもFC構想を打ち出している会社がいくつかある。コバックの成功をみて一層増えた。その中で今後、どのように成長を維持してゆこうとしているのか。
「国外にも進出する計画があります。株式公開のお話しもたくさん頂いています。その予定も頭にはありますが、無理に数や規模を追い求めることはしたくありません。きっちりと事業の基礎を固めながらやっていきたいですね」
「車検以外の事業を成功させることが当面の挑戦課題です。これまでは、『車検のコバック』という専門店ブランドを作ることに成功してきたと思っています。今後は、洗車・修理・中古車などのビジネスで新しいブランドを育てていきたいと思っています。すでにデザイナーの方にお願いして、新業態の店舗イメージはできています。まったく今までの日本に、いや、世界にもないカーアフターの専門店になる予定です」
コバックの成長を支える最大の財産は「人」だという。人を育て、才能を引き出すための方針について尋ねた。
「同じ愛知県でカレー専門店を全国展開されている会社があります。この会社のユニークなところは、社員の独立開業を支援する制度にあると思っています。当社もそうした主旨で、社員ライセンス制度を研究しています。ビジネス経験も資金もない、あるのは車への愛情とやる気だけ、そんな若者が2年間で独立開業できるシステムを作りたいと考えているのです」
最後に抱負と決意表明をうかがった。
「私は、高い目標を掲げて挑戦することが事業だと思っています。経済環境も競合環境もきびしいのは充分わかっていますが、それでもあえて『今がチャンス!』だと信じています。文字通り、『今』なのです。今、成果を上げることに全神経を集中することだけを心がけてきました。これからも同じです。それは、どんな業界でも同じはずです」
「コバック事業が“当たった”などと私は思っていません。地道にステップを積み重ねてきた結果にすぎません。そして、これからも「コバック」は皆様にとって身近な存在であり、カーライフに欠かせない企業になりたいと願っています」