Rewrite:2014年4月2日(水)
あなたを24時間尾行し、その日常を監視し続ける調査員がいるとしたらどう思われるだろうか。あなたの仕事ぶりを克明に調査・記録し、時間の使い方に関してアドバイスしてくれる。調査員も兼ねた診断士でもあるのだ。そうした調査員がいるとしたら、時々は雇ってみたいと思う。
製造現場や建設現場では、綿密な図面と工程計画に基づいて科学的に仕事が行われる。ところがデスクワークの仕事の場合、生産性の高い・低いを測定する基準があいまいだ。したがってデスクワーカーの処理能力の差は10倍、100倍の開きがあるはずだ。ましてや、経営者や経営幹部の時間の使い方に関しては100倍以上のパフォーマンス格差になっている可能性すらある。
それでいながら、自分の仕事を変えようとせず、時間の使い方もあまり改善が進まない。自らの時間管理を学ぶということは、自分自身を学ぶことでもある。まずは自分の時間というブラックボックスに直面することでもある。あなたの使用時間を調査してみよう。
◇「使用時間調査」・・・現状を把握する
15分刻みで、使った時間を記録しそれを集計する。昔は手作業で集計するしかなかったが、最近はスマホアプリで同様のことができるようになったので一層簡単になった。おこづかい帳を付けるのは最初面倒だが、付け始めるとクセになる。同様に使用時間も年に2回(一回あたり一週間)は調査してみる必要がある。会社全体でこれに取り組んでいるところもある
◇「使用時間を分類整理する」・・・時間の使い道を色分けする
蛍光ペンや色鉛筆を使い、時間の使い道を色分けする。
「商談」・・・赤
「会議・ミーティング」・・・緑
「移動」・・・茶
などといった具合だ。私の経験では、どんな人でも20以上の業務を抱えている。20色も色分けするとかえって分かりにくくなるので大別することが肝心だ。
時間調査をしてみてあらためて気づくことは、「みんな忙しい」ということだ。全員の時間がビッシリ何かで埋まっている。ひと目で「この人はヒマだ」と思える人はほとんどいない。
つまり、これ以上なにか別の仕事を受け入れる余裕がお互いまるでないかのような第一印象を与えるのだ。
◇「改善目標・改革目標を決める」
次の三つの視点でその調査結果を見てみよう。
1.あなたがする必要がない仕事、やってはいけない仕事、やりたくない仕事、何の成果も生んでいない仕事、単なる浪費になっている仕事をみつける。そして、その時間を排除するためにはどんなアクションが必要かを考え、実行する。
2.部下または外部協力者に依頼・委譲できる仕事をみつける。
つまり、あなたでなくともやれそうな仕事をみつけるのだ。それは、職務と権限の横流しではなく、下位委譲と外部委譲を心がける。ある会社では、「社外でやれる仕事は、すべてアウトソースせよ」という号令を出されたが、それもひとつの明快な判断基準である。
3.社長もしくは幹部であるあなたが原因で部下の時間の浪費を招いているものはないか。
意思決定の遅さや、判断基準のあいまいさなどが原因で部下を混乱させていることがないか。
指示の出し方が不明快なので部下に何度も同じ仕事をやり直させていることもある。細部へのこだわりすぎが所要時間を倍増させていることもある。そうした視点で色分けされた表を見つめ直そう。
◇「雑用処理・書類処理・メール処理の達人になる」
「受信トレー」にはあなたが返信すべきメールが一杯たまっていないだろうか。そのおかげで、メールがあなたにプレッシャーをかけていないだろうか。ファイル探しや書類探しで見えないストレスを抱えたり時間の浪費をしていないだろうか。
それらはシステム不在が原因である。
GTD(Getting Things Done)といわれる仕事をなし遂げる技術について触れる機会を作る予定だが、まず今日は使用時間をありのままに調査し、それを分析することの大切さを強調したい。