昨日のつづき。
バンコクでの和僑世界大会で鮒谷周史さんと和田裕美さんの対談をお聞きした。そのメモをもとにお二人をご紹介したい。まず今日は鮒谷さんから。
鮒谷さんのメルマガ「平成進化論」をご存知の方やすでに購読されている方も多いと思うが、2003年創刊で読者数は 20万人以上をほこる。10年間一日も休まず書いてこられた結果、バックナンバーは 3700号を超えた。以前は関西で大手企業に勤めていたそうで、当時はまったく営業成績が伸びず、営業という言葉を聞いただけで嫌な気分になったほどである。
勤務先の倒産を転機に東京に移住。同時にメルマガをはじめた。そのころ鮒谷さんが友人に紹介されて初めてとったメルマガが「がんばれ!社長」で、そのことが「平成進化論」発行につながっていると鮒谷さんから直接お聞きした。このメルマガが人生の転機に一役買ったと知って、私もありがたく思った。
「平成進化論」の内容は多岐にわたるが、全体の 15%はコミュニケーションに関することである。「子供のころ人見知りで、人に嫌われたくない、人に好かれたいとずっと思っていた」ことがメルマガ発行のエネルギーになっているのだろう。情報を発信することによって初めて入ってくるようになる。それが出会いにもつながる、と鮒谷さん。
「”過去と他人は変えられない”と言われているがそんなことはありません」と主張する和田裕美さんの言葉を受けて、鮒谷さんもこんな話をされた。毎日のメルマガ発行を通して様々なメッセージを発信してきたなかで徐々に、自分がかつて成果が出ないビジネスマンであったという記憶が”改ざん”されていくことに気づいた。同級生に会って当時の話を聞かされると、そのとき昔の事実に思い当たる。だが、普段は新しい記憶をもとに生きている、と。つまり過去の記憶やそれに対する印象までが変えられるというわけだ。
もちろん過去だけでなく他人も変えられる。鮒谷さんは極力たくさんの人に会うように心がけていて、ランチ、夕食、セミナーなどで年間 1000人を超える人に会う。次々に消化されていくアポイントメント。そのなかで、「流そう」と思えばどれだけでも流すことができるが、こちらの出方ひとつで他人が変わると信じているので、出会いの都度「よし、この出会いで何かプラスを差し上げたい」と気持ちを入れ直すようにしているという。その結果、相手から帰ってくるものも変わることに気づいた。だから、こちらの態度ひとつで他人も変えられる。
鮒谷さんがコミュニケーションについて勉強しているとき、田中角栄首相の秘書だった早坂茂三氏の本に出会った。そのなかでコミュニケーションの極意のような一節があった。角栄氏の言葉だそうだが、「広大な中間地帯を味方にせよ」というもの。その意味は、「山頂をきわめるには、敵を減らすことだ。好意をもってくれる広大な中間地帯を味方につけることだ」となる。その言葉のイメージを今も大切にしながらメルマガを書き、日々も過ごしている。
「所を得る」(徳冨蘆花)という言葉が好きな鮒谷さんにとっての「所」とはメルマガ発行であるそうだ。「だから僕は死ぬまでやるつもりです」と皆の前で宣言した。私も同じメルマガ作家として、そこまで言い切る潔さに脱帽した。
★鮒谷さんのメルマガ「平成進化論」 http://www.2nd-stage.jp/
<明日は和田裕美さんについてお届けします>