時事ネタ

共産主義希望の星「華西村」の繁栄と衰退

●社会主義は資本主義の進化した姿であるというマルクスの主張が間違っていたことは
歴史が証明してきた。
共産主義は私有財産を認めず、財産は国民共同の財産として国が管理し、それを平等に
分け与える仕組みをいう。私有財産をみとめ、競争原理が働くようにした資本主義とは
対極にある考え方で、中国や北朝鮮、昔のソビエト連邦などが共産主義をめざし、
実践した。

●資本主義の国からみたら、なんとも妙な制度だが一時的に共産主義がうまくいった例は
各地にたくさんある。「共産主義バンザイ!」を思わせるお手本のような村があった。
江蘇省の「華西村」(かせいむら)である。
この村は70年代までは極貧の村だったが、共産党委員会の書記だった呉という男が村に
やってきてから豹変した。

●呉は村人たちの給料の80%を徴収して村営企業を設立。鉄鋼、不動産、食品工場、
金属加工など数十社からなる企業集団を形成し、富を生みだし、収益を村人に平等に分配
した。その結果、華西村の住民は一戸建ての家をあたえられ、高級車が支給された。
さらには食費と教育費や医療費が無料化された。

●それでも財源があまったので、72階建ての高層ビルを立て、ロビーには1トンの純金で
つくった牛の像まで設置した。「共産主義者であれば、大多数の人民の幸福を追求するのは当然だ」という呉の発言とともに、共産党中央政府はこの村の成功例を大々的にプロパガンダに利用した。

●だが繁栄は長つづきしなかった。それは多分に呉の経営力のたしかさに委ねられたもので、共産主義の果実ではなかった。
呉が亡き後は衰退の一途をたどり、わずか10年後、村は8兆円の負債を抱え完全に破産状態になった。ついに村営企業はわずか20円で投資会社に売却されることとなった。

●それでも中央政府は「華西村」の現状を失敗と認めていない。
綻した政治的イデオロギーを正当化するために、まだこの村を見捨てていないのだ。
私有財産をみとめ、切磋琢磨の競争環境がある資本主義の方がうまくいくことを象徴する
ようなできごとではなかろうか。

★武沢ショート動画:負債8兆円で破産した中国一裕福な村「華西村」
 https://youtube.com/shorts/QQCh3WW_zeo