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金融アセスメント法

初代将軍・家康から15代・慶喜にいたる徳川幕府は、約260年間にわたって続いた。
江戸時代の庶民にとっては、諸藩の殿様が父親以上に権威ある存在であり、将軍様ともなれば雲の上の存在であったに違いない。徳川幕府という政治体制に疑問をもつ人が表れるのは、幕末の20年間ほどに過ぎない。
徳川家将軍による幕府政治が、ご先祖様の時代からの大常識だったのだ。
その徳川幕府も、志士によって倒され、無血革命「明治維新」が成就した。
何かがきっかけとなって大きなパラダイムシフトが起こる。そのためには、従来からのものの見方・考え方を変えてみることが大切なようだ。

西暦2001年も明日から師走。すでに21世紀に入ったわけだが、近代日本の歴史が明治以後からだとすれば、わずか130年の歴史に過ぎない。
「明治維新」を幕府開設とするならば、いまはまだ「元禄」が過ぎた「享保」「元文」あたりか。

「これが当たり前なんだ」「絶対これだけは変わらないんだ」という常識も、いつまで続く常識なのかは誰にも分からない。ましてや変化のスピードは加速度を増している。

金融機関は、わずか数年までは絶対に倒産しない存在だった。だがそれは幻想に過ぎないということがわかった。わかっただけではない。
金融機関が倒産することによって、自分の預金も掛け金も保証されなくなるということまでわかってしまった。

さらに銀行は、自社が生き残ることを優先させるあまり、企業への貸し渋りが今なお続いている。

ある会合での経営者と銀行マンとの会話。気の合うお二人だが、お互いに取り引きがないのと、一杯入っているせいか、口は悪い。

社長「銀行がなかなか貸してくれなくなったおかげで事業計画がメチャメチャになったじゃないか、どうしてくれる。」
銀行「我々だって同じですよ。景気が悪くなるなかで、金融ビッグバンとか株価の暴落なんかが始まったものだから、社長の会社   と内情は変わりませんよ。」
社長「うちはモノを作るのが仕事だけど、お宅らは金を貸すのが仕事じゃないのか。それじゃ無責任ってもんだよ。健全な会社に   まで貸し渋りしてるじゃないか。」
銀行「ちゃんと貸すべきところには貸してますよ。でも貸せないところには貸せない、それだけのことですよ。じゃあ聞きますけ   ど、社長の会社にベンチャー資本は入ってますか?」
社長「入ってないよ。」
銀行「そらごらんなさい、ベンチャーが貸さないような会社にどうして銀行が貸すんですか。なにをもって社長の会社が健全って   言い切れるんですか。」
社長「貸すか、貸さないかの基準はあるんだろ、それをきっちりと情報公開しろよ。」
銀行「そりゃ融資基準はしっかりとありますよ。お見せすることは出来ませんが。」
社長「それだよ、それ。審査をするんだったら審査結果の理由を公表するのも当然の義務だろう。」
銀行「ある程度はすでにやっていますよ。」
社長「ある程度じゃ話にならん。」

金融機関はいまなお社会的にパワフルな力を持つ。株式公開している会社であれば、市場から資金を調達することができる。また、社債を発行できる企業も同様だ。だが、大多数の企業はそうした直接金融の手段がない。資金が必要になれば、銀行からの借入金に依存せざるを得ないのが実情だ。

銀行の姿勢に対していきどおってばかりいても仕方がない。「怒り」や「不満」を「知恵」に変えるのだ。

幕末の志士が徳川幕府を倒したように、金融機関と企業との関係にパラダイムシフトを起こそうと、全国の中小企業者や学者・専門家がついに立ち上がった。
貸し手主導の取引慣行に対して、まさしく革命ともいえる法案を国会に提出しようという運動だ。

この法案を「金融アセスメント法」という。すでにマスコミなどから耳にされた方も多いはずだ。

「金融アセスメント法」とは、都道府県単位でアセスメント(評価)委員会を設置。金融機関の活動に対して評価・格付を行い、それを国民に向けて公表するというものだ。

今までは、銀行から企業に対して一方通行かつ非公開であった評価・格付。これを逆からも行おうという革命だ。

以下、その骨子を立教大学の山口義行教授のサイトから引用させていただいた。

1.円滑な資金需給
-1.その営業地域の資金需給にどういう影響を与えているか
-2.とくに、いまだ間接金融に大きく依存せざるをえない中小企業に対する資金供給に対して、どのような影響を与えている    か。
-3.一方的な融資条件の変更などによって、資金供給の安定性にマイナスの影響を与えていないか、など。

2.利用者の利便
-1.「書面による融資基準の公表や拒否理由の通知」など借り手が利用しやすくなるような措置が実施されているかどう       か。
-2.物的担保主義や連帯保証人主義などからの脱却に向けてどのような努力がなされているか。
-3.とくに小規模企業に対し著しく不利な取引き慣行が存在しないか。
-4.その他、預金者や借り手の利便性を高めるために、どのような努力がなされているか、など。

3.経営の健全性
-1.不良債権額
-2.自己資本比率など。

以上の三つの観点から、必要な情報を収集し、金融機関の活動を評価し、「優秀」「良好」「改善必要」などに格付けする。

「 山口義行 webroom 」 http://www.media-kiss.com/yamaguchi/

この法案を議員立法するためには、署名という後押しが必要なのだ。
全国の中小企業家同友会では、今年中に73万人の署名目標を掲げ、いま猛烈なラストスパートに入っている。あと一ヶ月だ。

最新の署名獲得数はここにある。↓
http://www.chudokyo.gr.jp/katudou/kinyu_shomei.htm

あなたの身の回りで中小企業家同友会の会員の方がおられれば、是非、積極的にその署名集めに協力をしてもらえないだろうか。

もし身近にそうした方がみえなければ、私にメールをお送り頂きたい。
私も遅まきながら署名集めを開始した。ご協力いただけるのであれば、署名用紙をお送りする。

武沢 mailto:take@e-comon.co.jp

貸し手と借り手の関係を対等にしてゆくための第一歩だ。