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お父さん、実はぼく、転職するんだ。

お父さん、実はぼく、転職するんだ。

●手回しのよい経営者なら60代のうちには事業承継の準備を終えている。
したがって70代、80代になっても社長を続けているのは、後継者がいないか、
決まっていない可能性が高い。

●案の定、70代・80代社長の過半数が「事業承継が進んでいない」と認めている。
後継者が先代より能力的に劣っているというよりは、後継者が優秀すぎて親の会社では
おさまりきらないことが多い。

●少子化と高学歴化が進むと、教育費にお金をかける家が増える。
その結果、子どもは大都市の一流企業や官庁、役所などに就職する
そのまま実家を継ぐことなく自分の人生を全うしていくわけだ。

●そこで有名な、巌流寺興産の社長、巌流寺一徹と長男との会話。

社長「私もそろそろ引退だ」
長男「おとうさん」
社長「お前には資質がある。私のあとをついで社長になれ」

後継者へのバトンタッチ。一徹社長にとってこれが最後の仕事になるはずだった。しかし、長男からもどってきた意外な言葉・・・。

長男「(すこし間を置いて)。実はぼく、転職するんだ」
社長「(はげしく驚き)ウソ!」
長男「人の役にたつ仕事がしたくって」
社長「人の役に・・・」
長男「Indeedで見つけたんだけどね」

國村隼と赤楚衛二によるユーモラスなテレビCMをご覧になった方も多いだろう。
笑いたいが、笑えない切実な問題である。
(それでもつい笑ってしまうが)

●親の心子知らず、子の心親知らず。こうなる前に話し合っておく必要がある。
できれば子どもが小さいうちに「お父さんの会社を継いでほしい」とフランクに希望を
伝えておくことが大切だ。

●名古屋の知人に洋食器製造の社長がいる。その息子さんが北海道大学に入り、
そのまま札幌の機械商社に就職してがんばっている。
その商社の次期役員候補にまで昇進した。名古屋にもどって洋食器製造を継いでくれとは
いえないまま社長は今年75歳。息子さんも来年で50歳になる。
親子仲も良好とはいえない。

IndeedのCMを彼らはどんな思いでみているのだろうか。

●親子が力をあわせて一緒に仕事ができるなんて幸せなことだ。
長男も次男も長女も次女もまとめてみんな面倒みるくらいのつもりで子ども達に声を
かけよう。
ただし、親子の人間関係や兄弟姉妹間の人間関係がよくない場合は、一緒に仕事を
しないほうが幸せだ。確執をかかえた肉親ほど憎しみをもつ相手はいないから。

●そうした機微をおさえながら、子どもたちの人生に何らかのオファーを出す
権利と義務が親にはある。

巌流寺一徹のようにならないためにも