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人間はAIとどこまでうまくやれるか

人間はAIとどこまでうまくやれるか

●3月1日、ルーマニアの政府の「名誉顧問」に、ルーマニアで開発されたAIが抜擢された。ニュースの見出しには「世界で初めて、人間以外が内閣メンバーに」とある。
名誉顧問となったAIの名称は「ION」で、音声による対話が可能な鏡のような形状をしたAIアシスタント。ルーマニア政府によれば、これはテクノロジーとAIによって世論を把握するための取り組みだとのこと。
つまり、国民の意見や要望をSNSから迅速に吸い上げ、政府に伝達する役目を果たすのだそうだ。

●現時点ではあくまでも「アドバイザー」という立ち位置だが、がんばり次第では、AIが大臣や国のトップに就任する日がやってくるかもしれない。ついにコンピュータも知能を持ち、人格も持つ時代がやってきたかと思うと非常に感慨深い。

●政治家より先に「AI取締役」、「AI社長」の方が先に誕生するのではないかと私はみている。いずれにしろ、ルーマニアの「ION」の動向から目が離せそうにない。

●AIといえば、今話題になっているのはデザインの秀逸さ。AIによって作られたイラストなどは、もはや人の描いたものとの区別がつかないほどのクオリティになっている。
実際にAIが作成したイラストを見たことがある方ならお分かりと思うが、ぱっと見ではプロのイラストレーターが描いた作品であると錯覚してしまうほどのクオリティなのだ。

●第三者は無邪気に「すごい」と拍手するわけだが、プロのクリエイターの立場が危うくなりつつある。AIにデザインの仕事を奪われかねないのだ。
「AIに頼めば期日も守るし、細かく注文すれば何度でも手直ししてくれて、理想のものが安価に手に入る」
そんな理由で人間の仕事を奪われてしまって良いのだろうか。

●著作権保護団体とAI制作企業が何度も話しあってそのあたりを協議しているようだ。
その結果、AIが作った制作物には規制がかけられるという話もある。
たとえば「AIが作成したイラスト」の場合、イラスト投稿サイトでは「AI」というタグを必ずつけなければならない。さらには、サイト内の設定で
「AIタグの付いた作品は非表示にする」
ということまでできてしまうため、一部ではAI作品が事実上認められていないことになる。

●厳密にいうと、AIによる類似作品があまりに多く出品されるため、表示点数を減らすための対処法だとも言われている。
また、海外ではAIで作った絵画やコミックには著作権が適用されないという判例が出た。

●昨年9月のこと、作家のクリス・カシュタノバ氏がAI画像生成サービスの「Midjourney」をつかって作成した漫画に、著作権登録が認められた。だが、年末になってそれが取り消された。

「作品がAIによって生成されていたのを見過ごしていた」という主張である。作者は弁護士を通じて異議申し立てし、裁判はいまも続いているようだが、裁判の結果次第ではAIデザインの著作権問題の流れが変わる可能性もある。

●話題沸騰中の「ChatGPT」の著作権は、当の本人いわく「OpenAI」に帰属すると
ある。しかしその「ChatGPT」も著作権のある文書を参照元にしていることもあり、
ややこしいことになっている。
あのホリエモンは大胆にも99%ChatGPTの原稿を本にして売り出した。
後書きだけがホリエモンの書いた文章だという。いまのところそれが問題になっていないということは、まだまだ著作権問題は玉虫色といえそうだ。