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「RRR」を観て思うこと

「RRR」を観て思うこと

●私はこの春で69歳になります。岐阜県の大垣にうまれ、専門学校を卒業する20歳まで
大垣で暮らしました。その後は愛知県の会社に就職し、愛知県で49年間暮らしています。
私はすっかり「愛知県民」「名古屋っ子」になりました。

●そんな私でも高校野球を応援するときは断然「岐阜県人」です。
愛知代表の愛工大名電や中京、東邦、享栄、至学館が岐阜代表の大垣日大や県岐商と試合
するときは、迷うことなく岐阜代表を応援します。
愛知の方が年数は長くなりましたが、生まれ育った郷土は特別な場所なのです。

●3人の子どもがいますが、彼女・彼らにとって郷土は「愛知県」です。
あまり高校野球は見ませんが、それでも愛知代表の結果は気になるようです。
当然、岐阜代表のことはさほどでもないようです。

●父が亡くなったのはいまの私と同じ69歳でした。
徳島で生まれ育った父は徳島代表が試合するときだけ会社を休んで帰宅し、
テレビ応援していました。当時私は学生でしたが、何年経っても父は徳島の人
なんだと思っていました。
子ども達はいま、私をそのように見ているのだと思います。

●そうしたなか先週末、インド映画『RRR』を観てきました。
予告編でみるかぎり派手なアクションシーンだけのインド映画だと思って興味は
ありませんでした。
しかしあまりに評判が良いので(きっと何かある)と思って見ることにしたのですが、
大正解でした。

●ストーリーを知らずにご覧になることをおすすめしますが、あらましだけお話しします。
大英帝国の植民地にされていた頃のインドが舞台ですが、国家の主権を取りもどすのは「武器」でも「政治」でもない「人」であることが痛いほど伝わってくる作品です。二人の英雄の相克と友情、なにより建国に対する熱情はハンパ有りません。右隣の男性のすすり泣きが何度も聞こえてきました。

●英国支配から独立するにあたり、最強の武器となったのは「人」でした。もちろん兵器も役に立ったのですが、まっ先に必要だったのは「人」でした。
日本映画界もこういう映画をつくって私たちにもっと主権国家としての気概と誇りを伝えてほしいと何度も思わされました。

●人が自分のよって立つ基盤である故郷や家族、国家というものを愛せなくなったり、
誇れなくなったとき何を頼りに生きるのでしょうか。
「自分」しか愛するものはなくなって、バックグランドもホームタウンも誇れない個人ならぬ孤人になったときの孤独感と不安感はいかばかりでしょう。その不安が独身者5,000万人という建国以来最大の危機や、少子化という悩ましい問題につながっているのだと思います。

●孤独感と不安感にかられると人はせっせと貯金に励みます。
投資をせずに貯金します。私たちの個人資産は2,000兆円ありますが、
その54%は預貯金+タンス預金です。1,080兆円の預金があるのですが、
もしその半分の540兆円が株式投資に向けられたとき何が起きるか、ご存知ですか?

●現在の株式市場の時価総額は全上企業の合計で714兆円です。
つまりすべての会社の株価を2倍にしてしまう資金力を私たち「個人」が保有しています。株価倍増がもたらす恩恵はなにか。

●老齢年金の財源が潤沢になり、年金不安が解消されます。
国には大量の税収が流れ込み、企業は潤沢な投資財源をもつようになります。個人も年収以外の投資資産がふくれ上がり、自己投資も買物もし放題。
そんな「経済力」というすごい武器をもちながら、それを行使しない。
武器をもっていることすら認識していない人が多いのは実にもったいない話です。

●企業も同じです。日本企業の内部留保の厚さは異様ともいえ、2021年度には516兆円に達しました。20年前にくらべて2.7倍になったのですが、ここにきてようやく社員の給料をあげる必要を認めだしている有り様です。

●CEOにある心も将来への不安です。万一に備えての備蓄なのですが、今より将来が良くなるという見通しがあれば不安が消えるのに、将来はもっと厳しくなると考えているCEOが多いのが悔しい。

●まずは日本の政治家や教育関係者、企業経営者には『RRR』を観ていただきたい。国防費を増やすのも結構だが、まずは「人」を武器にする人づくり、企業づくり、国づくりを行うことが先決だと思い至るはずです。

★映画『RRR』 ⇒ https://rrr-movie.jp/