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ジョーク好きが知っておくべき事件

ジョーク好きが知っておくべき事件

●先日ネットフリックスで、ある海外ドキュメンタリー作品を観た
『ペプシよ、戦闘機はどこに? ~景品キャンペーンと法廷バトル』という。
「ペプシ」とは、あのペプシコーラのことである。私はコカ・コーラ派だが、タイトルに惹かれ観てみた。

●90年代に起きた「ジョン・レナード対ペプシコ事件」。
巨大企業「ペプシコ」に対して一人の若者が訴えを起こし、全米が注目した。当時、業界最大手であるコカ・コーラと人気を二分していたペプシは、テレビCMなどをつかって大々的なプロモーションを行っていた。

●コカ・コーラを追いかける永遠の二番手という状況を打開すべく、ペプシは「景品キャンペーン」を始めたのだった。
ペプシを買うと「ペプシポイント」がもらえる。それをTシャツや帽子やサングラスなどと交換できるというキャンペーンだった。

●テレビCMの最後に、若い学生がハリアー(海兵隊の戦闘機)で登校するというインパクト抜群の映像のあと、こんなテロップが流れる。

「HARRIER FIGHTER ・・・ 7,000,000 PEPSI POINTS」
(戦闘機、7百万ペプシポイント)

●つまり7百万ペプシポイントを貯めれば戦闘機と交換ができるよ、というわけだ。
コーラ24本パックで10ポイントもらえるので、コーラを1,680万本買えば戦闘機がもらえる計算だ。
一日10本飲むなら168万日。約4600年かかる計算だ。コーラ1本100円とするなら
16億8千万円必要だ。

●ペプシ側の主張は「ジョークに決まっている」。
だが、当時21歳の大学生だったレナードはこのキャンペーンの条項を目にとめた。そこには「15ポイント以上貯めれば、足りないポイントは現金で支払ってもよい」という規定を見つけた。本来はTシャツやサングラスなどと交換するための規定だったとペプシは言う。

●だがレナード青年はその規定を戦闘機に当てはめた。
自己資金70万ドル(9,500万円)さえ用意すれば、2,300万ドル(31億円)の戦闘機と交換できることが分かったレナードは投資家を口説いて回った。そしてついに70万ドルの調達に成功したのだ。

●1996年3月28日、レナードは15ペプシポイントと、70万ドルの小切手をペプシに郵送し、戦闘機を要求した。
すると数週間後、ペプシから返事があった。
ジェット機のコマーシャルは「空想的な」ものに過ぎないと、レナードが送った小切手が返却された。

●そこから先の法廷闘争には敏腕弁護士や大物実業家なども加わって大層な騒ぎになる。気になる方はネットフリックスでご確認いただきたい。
当時のアメリカでは「ジョークCMを真に受けるなんて・・・」とレナードを批判する人も多かったそうだが、このCMをみたら私でも700万ペプシポイントを集めてみたくなる。

あなたはいかがだろう。

★当時のペプシCM
 https://www.youtube.com/watch?v=ZdackF2H7Qc

(峻)