名言

勝つことに遠慮なんかいらない

負けても平気な顔をしている人がいる。
未達成でもニヤニヤしている人がいる。
そういう人がいるのは知っているが、自分もそうしようと思ったことは一度もない。いついかなるときも勝ちたいし、負けたときは口惜しくてしようがない。

我社にはゲーム好きが揃っていて、昼の休憩時にトランプやボードゲームをすることがある。
シンプルなトランプゲーム(7ブリッジやインディアンポーカー)だったり、以前はCLUEDO(クルード)という推理ボードゲームや、ブロックスという陣取りゲームに夢中になった時もあった。

何をやっても私の勝率は高い方だ。
ある日、ゲームを終えて一人のスタッフが愚痴をこぼした。
「社長は毎回嫌な戦い方をしますね~。何か、いち早く攻略法を見つけて楽しんでる感じがして、こっちは負けが続くと楽しくなくなる
表情こそ笑顔だったが目は笑っていなかった。
相当鬱屈したものがあるようだ。
家内もそれに追い打ちをかけ「私ゃ、もうやらない」とふて腐れている。

「接待麻雀」「接待ゴルフ」というものがある。接待相手に花を持たせるのだそうだが、私にはできない。
接待だろうがなんだろうが、勝負であれば全力で勝ちにいく。
だからスタッフから「つまらない」と言われたことが心外だった。
手抜きを要求しているわけではなかろうが、自分の何がいけないのか分からないのだ。

毎年正月に実家に帰ると麻雀好きの弟が手ぐすね引いて待っている。
ファミリー麻雀を楽しむのが吉例だが、そこでも私は全力だ。
今年も一人勝ちした。普段私に意見しない弟も今年はちがった。

「兄貴、ボクも昔は勝ちにこだわったが、今はそうじゃない。仲間全員がまあ平等に良いおもいができるようなゲームになれば、それが最高の麻雀なのかもしれないと思うようになったんだ」

勝たないと気が済まない私より、弟のほうが大人にみえる。
だが私は反論した。
「お前も衰えたな。勝負事では真剣勝負こそが礼儀じゃないのか。手を抜いてもらっていると感じながらやる勝負ごとなんて誰のためにもならない。相手が友人や家族であっても私はいつも “一人勝ち” を狙っている」
「ふ~ん。それで楽しい?」
「ああ、すっごく楽しい。ゾクゾクするほど楽しい」
明らかに弟は引いていた。

イチロー選手や本田圭佑選手は子供相手だからといって手を抜かない。
全力でプレーする。
プロ相手と変わらぬ姿勢で試合に挑むから、その凄さが子供に伝わる。
長男が小学生の頃、よく将棋を打った。
ルールすら知らない段階だったが、手心を加えなかった。
そのうち三ヶ月もしないうちに全力でやっても時々負けるようになった。
それでいいと思う。
「ニンテンドー64」のマリオゴルフでは私が圧勝し次男を泣かせた。
今、Switchやプレステでは彼らの方が強い。
私が泣くことになるので対戦しないようにしている。

勝ちに貪欲になろう。
全力で勝ちにいこう。
自分と相手へのリスペクトを込めて、私は勝つことに貪欲でありたいと思う。