時事ネタ

香川か川島か

香川か川島かといってもサッカーの話題ではない。

先日の読書合宿で友人と湯に浸かっていたら突然彼が「ぼくが注目しているのは香川照之だね」と言い出した。
私も役者としての香川は好きで15年前の映画『憑神』(つきがみ)以来いろんな作品をみてきた。
ところが友人いわく、香川の演技ではなく司会ぶりに注目しているという
「え、司会?」
「そう、TBSの『THE TIME』の金曜日の司会を香川が担当してる」

友人いわく香川のMCぶりは「どんな話題にも初々しいスタンスで接するので押しつけがましさがない。
それでいて素人っぽくもなく、的確なコメントもできる。
瞬発力があるのか入念に準備しているのかはわからないが、東大卒でフランス語も堪能だという秀才ぶりが嫌みなくでているね」と手放しの褒めよう。
今度、じっくり観てみることにしよう。

実はMCとして私が注目しているのは麒麟の川島明。
『2022上半期テレビ番組出演本数ランキング』でトップになったというが、さもありなんという実力だろう。
昨年4月に『ラヴィット!』の総合MCに就任した当初は「朝の番組でニュースや時事ネタがなくて数字が取れるわけがない」などと叩かれ、事実、スタート時は視聴率も低かった。
私もそのころは「朝からガチャガチャと落ち着かない番組だな」と眉をひそめたことがある。

ところが川島の笑顔と優しさあふれる進行ぶりが心地よいと好評を博していき視聴率はみるみる上昇した。
視聴者の評判が大切なのは言うまでもないが、共演者からもやりやすい、心地よいといわるのは大切なことだ。
人情も心得ているようで、「皆さんから声がいいって言われますが、皆さんの耳がいいんですよ」と切りかえす。

昨年末『アメトーーク』大賞のグランプリを受賞した川島はトロフィーを手に「相方(田村)が作家業でブレイクした時に私、仕事がないときにアメトーークさんだけが1人でトークで呼んでいただいて」と声を震わせた。

「司会もひな壇も大喜利もできる、今やどの番組スタッフも川島を呼んでおけば間違いない」と頼りにされる。
参加者ひとりひとりの個性を活かし、チーム全体が活性化することで特有の一体感を生み出すことができる。
それがファシリテーターの腕のみせどころだ。
ところが進行役のクセや主張が強いとそうした空気は生まれにくい。

そうしたファシリテーションの要諦のようなものをお笑い界で持ち合わせている芸人はそれほど多くはない。
声もいいし、マスクもいいし、43歳と若い。
しばらくは川島の時代が続くのではないか。
香川は56歳、川島より一回り以上年齢が上で、個性も立場も違えど、ふたりはよきライバルになる可能性もある。