国内経済

値上げラッシュの夏

フィリピンで仕事をしている友人がこんなことを言っていた。

「フィリピンにも若くして成功した起業家が増えている。
時々そうした人たちのパーティに行くと日本の寿司職人が目の前で寿司を握ってくれていたりする。
寿司ブーム、和食ブームなのは日本人として誇らしいが、問題なのは現地起業家が日本の料理職人を招く理由です。
武沢さん、日本の料理人がフィリピンで好評なのはどうしてだと思います?」

武沢
武沢
「そりゃ美味しくて愛想が良いからでしょ」

「それもあるけど決定的な理由はそれではありません。
それは日本人がリーズナブルだからです」

武沢
武沢
「リーズナブル?」

「はい、フレンチやイタリアン、中華などの職人に比べると日本人は時間を守るし後片付けもちゃんとやる。それに圧倒的に人件費が安い」

武沢
武沢
「・・・」

「フィリピンの成功者からみたらもはや日本は人件費の安い国というイメージなんです」

マニラ首都圏では三日前の6月4日から最低賃金を引きあげたがフィリピン全体では格差社会が著しい。
今も生活苦にあえぐ家庭も多い
しかし一部の富裕層フィリピン人が日本をそのようにみていると知って愕然とした。
たしかに日本人の給料は30年前から4%しか上がっていない。
の間、米国では48%、イギリス44%、韓国92%という賃金上昇を果たした。
日本人の給料だけでなく、日本の物価も諸外国からみたらリーズナブルなのだろう。

給料は上がらなくとも日本人はデフレ経済が続いたので国内で暮らすだけなら不満がなかった。
だが、ここにきてインフレが襲った。
まだ小さい値上げだから気にならないが、積もり積もっていくと大変なことになる。

丸亀製麺やはなまるうどんの値上げはうどん好きにとってボディブローとなっている。
小麦粉や食用油の値上げはうどんだけにとどまらない。
ミスタードーナッツも人気商品を110円→120円、200円→210円に、マクドナルドのハンバーガー類もこの春、多くのメニューが値上げした。

スターバックスはコーヒー、ラテ、フラペチーノをはじめとする定番ドリンクを値上げした。
一方、植物性ミルクを使ったソイラテなど一部の商品は値段を引き下げてもいる。

数年前280円のメニューを298円に値上げして客離れが起きたとされる「鳥貴族」もこの春、値上げした。
値上げの怖さを知っている会社でも値上げに踏み切らざるを得ない状況だ。

この6月だけで1500品目以上が値上げする見通しだという。
ここで驚いてはいけない。
7月には更に2100品目以上の値上げが予定されているのだ。

7月4日からセブンイレブンのコーヒーも値上げ予定だ。
毎朝スタバやセブンのコーヒー片手に通勤している人たちは、職場でコーヒーを自分でいれることになるのだろうか。

賃上げを伴わないインフレは家計を直撃する。
消費が手控えられることで日本経済全体が減速する。
ここは弱気でディフェンシブな対策ではダメだ。
果敢に攻めよう。

あなたが経営者なら値上げをしよう。
やる前から「できない」と決めつけず、今の商品を幾らで売るか値上げ額を紙に書いてみてほしい。
紙の左半分にはできない理由を、右半分にはできる理由を書き、裏面にはどうすれば希望の値上げができるか清書しよう。
きっと出来る
値上げが可能になれば社員の給料も上げられるし利益も増える。
よりも生産性が上がるはずだ。
値上げラッシュの夏は、あなたの会社も値上げしよう。
便乗値上げなんかではない。
付加価値を高めて堂々と値上げしよう。

あなたが経営者でないなら、収入増を図ろう。
もしあなたの勤務先が副業禁止なら投資しよう。
投資で利益を出してインフレのリスクヘッジにしよう。
物価高騰を嘆くだけで手をこまねいているとしたら、それはあなたらしくない。
(晃)