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「一億総株主」スタート

個人が一生の間に蓄える財産(金融資産)は公式であらわすと次のようになる。
相続資産は計算から除外する。

金融資産=生涯収入(一時所得含む)×貯蓄率×運用率

仮に生涯収入が3億円で貯蓄率が5%、運用率が35%(年率1%の30年複利)なら2,025万円の資産ができる。
生涯収入が10億円以上ある高額所得者でも貯蓄と運用を軽視したら、引退時にはほとんどお金が残らない。
運用上手になると年率10%の運用を30年間続ける。
すると17.4倍になる。
つまり3億円×5%×17.4倍=2億6,100万円の財産が残る。
場合によっては生涯収入よりも多い資産が残せるのが資産運用の妙といえる

資産を増やすための選択肢は次の四つある。

1.収入アップを計る(スキルアップ、自分自身のマーケティング
2.一時所得を狙う(宝くじ、ギャンブル、割のよいアルバイト)
3.貯蓄を増やす(節約上手になる)
4.運用する(投資上手になる)

収入アップさえ果たせばすべてうまくいくと思いがちだが、実際には今の収入のなかで貯蓄し、運用上手になることにフォーカスしたほうが話は早い。

国もようやく気づき始めたようで、投資上手な国民を増やすことに本気だ。
ひとつは投資に関する啓蒙と教育、もうひとつは制度改革である。
今後はある程度の市場介入も含めた高株価対策も期待したい

岸田総理の「貯蓄から投資へ」をモットーに自民党は一昨日「一億総株主」の目標を掲げた提言を政府に申し入れた。
「NISA制度の抜本的拡充」などを求めたものになっているという。
欧米と比べて日本は預金の割合が非常に高く、そのお金が投資に回っていないことが問題だという。

こうした的を射た政策が次々に打ち出されることで確実に日本は良くなっていくと思うし「一億総株主」の活動のすそ野を広げていっていただきたい。

メディア関係者も投資教育を受けるべきだと思う。
以前、「ニュースステーション」で東証株価が暴落した際、キャスターが原稿を読み上げたあと「ざまぁ見ろですよ、我々庶民は額に汗して働いているんだから」とコメントした。
私はたまたまそれを見ていたが「ひどい。100年遅れた感覚だ」と憤慨した。
だが「キャスターの言う通り」と感じる国民が多かったのではないか。
その証拠にそのキャスターは何もおとがめなしだった。
こうした報道姿勢を改めていかないと国民をミスリードする。

この4月から高校生を対象に金融教育が始まった。
大人顔負けの学生が増えそうな予感。
なにをどのように教えるのか気になる方は金融庁のホームページで概要を知ることができる。
あと数年もしたら今年の高校生が社会に出てくるので、私たちも再勉強しておこう。

★高校向け 金融経済教育指導教材の公表について(金融庁)