実話ベース物語

「八月の歓喜」を観るべし

『チェリノブイリ1986』『死刑にいたる病』『マイ・ニューヨーク・ダイアリー』など、この連休中に何本かの映画やドラマを観た。
そのなかで一番印象的だった作品は『侍ジャパンドキュメンタリー 八月の歓喜』という作品。
DVD版もあるが、私はPrime Videoでレンタルし、大画面の液晶テレビで観た。

あなたが野球ファンなのであれば、文句無しにしびれるだろう。
こんなに食い入るように魅入ってしまうドキュメンタリーはいつ以来だろうか?
稲葉篤紀監督とコーチ陣がホテルに集まり、「侍ジャパン」の人選に頭を悩ませるところから2時間のドキュメンタリーが始まる。
最後は東京五輪での全勝優勝という歓喜が待っていると知りながら、この緊張感はいったい何だろうか。

プロ野球の監督やコーチがどのような意見を戦わせているのか、なかなかその現場を見る機会はない。
ましてや、選手のロッカールームやベンチ内でどんなやりとりがされているのかは知るよしもない。
そうした普段私たちが入れないところにまでカメラが入っているところが新鮮だ。
しかもそこは東京五輪の日本代表というとんでもない戦場である。

一切の演出なしに、選手間の素のやりとりが撮られている。
甲斐捕手や梅野捕手が栗林投手の投げる球に「ナイスボール」と声をかける。
この声は文字にしてしまえば普通の言葉だ。
ブルペンキャッチャーが投手を盛り上げるために誇張して叫ぶ「ナイスボール!」でもない。
球界を代表する捕手ふたりが心の底から「いい球が来てるよ」とささやくようにいう「ナイスボール」の言葉は栗林投手にとって百人力だったはずだ。
その場面を私は10回巻き戻してみた。
なぜ彼らがすごいキャッチャーなのかがわかった。

アメリカのエースピッチャーが投げるツーシームは分かっていても打てない。
選手ミーティングで相手投手の動画を分析しながら攻略法を話し合うが結論はでない。
ミーティング終了後も会議室に残って投手のクセを見破ろうとする村上。
翌日、相手の得意球・ツーシームをホームランし、日本に先制点をもたらしたのが村上だった。

すごい選手はユニフォームを着ていないときもすごい。
坂本が、柳田が、鈴木が、山本が、田中が、山田が、菊池が、村上が、青柳が、森下が、栗原岩崎が、大野が、伊藤が、勝ちたい一心の野球少年になっている。
侍ジャパンはそうした場所のようだ。

言い過ぎかもしれないが、この再現ドラマを見ずして野球ファンを自認することはできないとすら思う。
こんなに映画をPRしても誰からも褒められるわけではないが、すすめないわけにはいかない。

Prime Videoのレンタルは48時間が有効期限だが、おそらく切れたあとにも何度かレンタルすることになるだろう。
DVDを買う方がお得になるかもしれないが、あえてモノは所有しない方向で考えたいのでここはだまってレンタルする。


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