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日経平均1万円割れ「ざまぁみろです」

日経平均1万円割れ「ざまぁみろです」

●昨年12月以来、世界の株式市場には不穏な空気が広がっている
英国やブラジルなど一部の国は堅調だが、それ以外の国々の株式市場は下落が止まらないのだ。
その最大の要因はコロナ感染の拡大が長引いていることだが、米国で金融緩和が縮小され金利上昇が始まっていることも大きな要因だ。
更にはインフレの傾向が続いていることや、ロシアのウクライナ侵攻懸念もある。
下げ材料には事欠かないが、上げ材料が見当たらない状況である。

●こうなると不景気風を吹き飛ばすような好決算を期待したい。
国の主要企業は12月決算が多く、それらの決算速報が先週から発表されている。
先週はTesla、Microsoft、Appleの発表があり、おおむね好調だった。
今週にはGoogle、Meta(Facebook)、Amazonなどの発表が控えているが、ポジティブサプライズを期待している。

●ずいぶん昔のことになる。
竹村健一氏が日曜朝のテレビ番組で日本の株式投資教育の不足ぶりを米国と対比して論じていた。
米国では義務教育で株式投資を教えるのに対し、日本はまったく行われていない。
日本の個人や企業、あるいは金融業界全体が世界に立ちおくれている理由のひとつは教育にある、といった内容だった。
この指摘は20年近く経つ今でも通用するものだと思う。

●番組の総合司会をしていた露木茂アナウンサーが、それを受けて最後にこう締めた。
それは、竹村氏のメッセージを台無しにするもので、歴代最悪の締めだと思われる。

「でも視聴者の皆さん、私たち庶民は額に汗して働くということを忘れてはいけませんよね」

番組の主旨が台無しになり放送を終えた。

●久米宏氏は「ニュースステーション」でバブル崩壊後、ついに日経平均株価が1万円割れをした日にこう言い放った。

「ざまぁみろですね」

国の富が失われたことに対して「ざまぁみろ」とは何たる放言だろう。

●露木氏にしろ久米氏にしろ、彼ら個人を責めてもしようがない。
当時の日本人は大なり小なり彼らのような常識をもっていた。
額に汗して働いて得たお金が尊いのであって、不労所得でお金など得ようとするのが間違っているという常識だ。
それは20世紀で終わった。

●いまの常識は「額に汗して働くお金も尊いが、同様に、額の奥にある脳に汗して働くお金も尊い」である。
投資には価値があるし、当然投資の見返りは利益だ。
株式市場は一部の資産家やマネーゲーマーや企業のためにあるのではなく、国民のためにある。
アメリカでは「401Kミリオネア」が多数誕生した。
企業型確定拠出年金(401Kプラン)に加入して毎月積立投資を続けてきた人が退職時に100万ドル(1.1億円強)を作ってリタイアしているのだ。

●国民が豊かになれば国も潤う。
従って国をあげて経済問題に取り組み、株式市場などの金融市場を大切にする。
日本政府が金融市場をおろそかにしているとは言わないが、大切にしているようにも思えない。
少なくとも政治家やメディア、教育の現場には、古い金融リテラシーの人がたくさん残っているのではなかろうか。

●金融リテラシーを高めるためにようやく日本でも投資信託の教育がスタートする。
今年の4月から高校の家庭科の授業で行われるのだ
遅きに失した感はあるが、個人投資家が増えることは株式市場にとって好ましい。

★高校家庭科で「投資信託」 22年4月から授業(日本経済新聞)
→ https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51840730W9A101C1000000/

●ただ問題なのは、個人の投資先が日本株からアメリカ株に移行していること。
日本人がこぞってアメリカ株を買うなんてどういうこと
と言いたくなるが、私も大半はアメリカ株だ。
心情的には日本株を応援したいわけだが、株価上昇率においても配当利回りにおいてもかなりの差がついてしまっている以上はやむをえない。
個人投資家の行動を責めるわけにはいかないのだ。
この状況を日本の経営者や政治家がどう受け止め、どう対処するのか日本人投資家の多くはそこに注目している。