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次のGAFAを見抜く方法

「もしあのとき、あの会社の株を買っておけば今ごろは悠々自適だったのにねぇ。どうしてあのとき・・・」
とZoomの向こうでA社長。
儲けそこねた話など愚痴っぽくて聞いていられないが、聞き流してしまうのももったいない気がする。
教訓に満ちているからだ。

●アメリカのアマゾンが上場した1997年、私は日経流通新聞(今の日経MJ)でジェフベゾスの記事を読んでいた。

「へぇ、こんな起業家がいるんだ。自前で倉庫をつくって本の在庫を置くらしいが、賢いのか賢くないのかよく分からん。全米に倉庫を作ると言っているがどうなんだろう?」
と思った。
当時私は43歳、コンサルタント開業2年目で仕事が軌道に乗って、株式投資も再開したころだった。

「アマゾンの株を買ってみようか」
とまでは思わなかった。
そもそも当時は日本で外国株を買うのは困難だった。
手数料も今より断然高く、アメリカ株に投資するという発想は普通の人なら持ち合わせていなかったはずだ。

●1980年代の半ば、私は初めてパソコンを買った。
MS-DOSを起動するたびに表示される「Microsoft」の文字を毎日ながめていた。
マイクロソフトという会社名とビルゲイツという若くて優秀なCEOの名はすぐに覚えた。
だが、Microsoftという会社のことを調べようとか、株を買ってみようなどとは思いもつかなかった。
電気店で買ってきたゲームソフトをパソコンに読み込ませ、ドット表示のゲームに興ずるだけで悦に入っていた。

●20代の半ばでPCデビューした私がもっと賢明だったなら、ゲームに興じたあとは、万難を排してMicrosoftの株を100万円ほど買っていただろう。
そんなお金はなかったが借金はできたはずだ。
その年(1986年)のマイクロソフトの株価は分割調整済みで0.1ドル。
現在の株価が310ドルなので100万円の投資は現在31億円に膨れ上がっているわけだ。
アパートの小部屋でパソコンに向かって野球やゴルフのゲームに興じる自分を蹴り飛ばしたくなるほど口惜しい。

●ちなみに日経流通新聞の記事を読んだ97年にアマゾン株を100万円分買っていたら、25年後の今は23億円になっている。
Teslaが上場した2012年9月、私は土佐に戻り鰹を食べにいったことを自慢げにメルマガに書いている。
鰹に舌鼓を打っている時間にTesla株を買っていたらどうなったか。
100万円分のTesla株はわずか9年半で、2億2,500万円になった。

●凡人はMicrosoftをつかって仕事をし、Amazonで買い物し、Teslaの車を乗り回している。
だが賢人は、MicrosoftとAmazonとTeslaに投資し、資産を爆増させてきた。
賢人の上をいく、志士クラスの逸材になると成功する前のゲイツやジョブズやベゾス、マスクに会いに行く。
そしてパートナーシップを申し出るか出資のオファーでも出すだろう。
孫正義さんのように。

●目の前に堂々と、しかもゆっくりとチャンスが歩いていく。
巨大なチャンスだ。
私たちはそれをしっかりと見て認識している。
2018年の夏、品川プリンスホテルで開かれたエヌビディアのコンベンションに参加した私は、この会社の技術力とCEOのジェンスンファン氏のバイタリティとプレゼン力に感銘を受けた。
そのことはメルマガにも書いた。
「よし、これからはエヌビディアにも投資しよう」
と、品川プリンスの自室でワイングラスを傾けながら決断した。
その日の株価は50ドルだった。

●だが翌日、名古屋にもどってから躊躇した。
すると、あれよあれよとエヌビディアの株価は30ドルまで下落した。
「買わなくてよかった」
と妙な安堵をする自分がいた。
その安堵感はいったい何を意味するのだろうか。
30ドルを付けた翌日から上昇が始まった。
あれから丸3年経ったいま、同社の株価は250ドル。
3年で8倍以上になった。

●こんなことをいつまでもいつまでもくり返すのか私は。
「野球と違ってど真ん中のストライクは何回見逃しても構わない」
とバフェットさんは言う。
フルスイングしてホームランを打った経験者ならそう言えるが、ホームラン0本のバッターには慰めでしかない

ではどうすれば今後は甘い球を見逃すことなく、GAFA級の企業を早期発見できるか。
そこがポイントなのだが、明日は「ウィークリー雑感」のため来週につづく。

【今日のYouTube新作】

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