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サボタージュ・マニュアル

サボタージュ・マニュアル

●「ベンチがアホやから・・・」と選手に言わせるようなチームは優勝できない。
いや、優勝できないチームだからそのような発言が内部から出てくるともいえる。
江本選手のこの暴言騒動までの阪神タイガースは17年間の長きにわたって優勝から遠ざかっていた。
組織は内部から崩壊する。
2200年にわたって繁栄を誇ったローマ帝国も最後は内部崩壊だった。

●「優勝」から17年も遠ざかっていれば、高校を卒業して入団した選手も現役引退の年齢になる。
生涯で一度も優勝争いをしないままユニホームを脱ぐことになる。
野球という仕事をしているだけになるだろうし、原因はフロントのせいだ、監督のせいだ、選手のせいだと犯人さがしもしたくなるだろう。
その結果、チームワークは最悪になり組織は内側から崩壊する。

●戦時中、ある意味で特別にすごい兵器を開発し敵国にそれを用いていた国がある。
それがアメリカの文書兵器「サボタージュ・マニュアル」というもの。
第一次世界大戦のあと米国戦略諜報局(オフィス・オブ・ストラテジックサービス、OSS)が相手組織の機能を麻痺させるために作成したマニュアルだ。

●組織運営のなかに幾つかの仕掛けをいれることで組織が回らなくなったり、組織の人たちをイライラさせることができる。
その結果、事故や災害、機械の故障や破壊などを起こすことができる。
そのためのノウハウが「サボタージュマニュアル」に書かれている。
ちなみにこれを開発したOSSという組織は現在のCIAだ。

●Amazonで『サボタージュ・マニュアル』というタイトルの本が出ているが、わざわざ買ってまで読む必要はない。
この本にある次の要約をみれば充分だ。

<ホワイトカラーによるサボタージュ戦略>

1.形式的な手順を過度に重視せよ
2.ともかく文書で伝達して、そして文章を間違えよ
3.会議を開け
4.行動するな、徹底的に議論せよ
5.コミニケーションを阻害せよ
6.組織内にコンフリクトを作り出せ
7.士気をくじけ

●こんなことを続けていけば、確実に組織は内部から腐っていく。
「サボタージュ・マニュアル」の精神は、非効率・非生産的・非人間的だ。
その精神をもとに私がつくった「組織を崩壊させる15条件」がこちら。
もし「どこがいけないの?」と思うモノがあったとしたらあなたもサボタージュ・マニュアルにやられてしまっている可能性がある。

<組織を崩壊させる15条件>

1.メールのレスは可能な限り遅くせよ(理想はスルー)
2.メールは長文にせよ(そして一つのメールに複数の要件を入れよ)
3.会議を増やしとことん議論せよ(忙しいときほど会議をエンドレスで行え)
4.会議では演説、スピーチ上手の人に個人的な経験談やエピソードを長く話させよ
5.議事録は必ずつくり、誰が何を発言したかが完全にわかるようにせよ
6.既に決定したこともしばしば覆して再議論し、決定事項を見直
7.意見提案がある時はまず手続きを経よ(直属上司の承認がない意見具申は禁止)
8.提出書類には完ぺきを求め小さいミスでも再提出を要求せよ(手本はお役所仕事)
9.メールや書類は内容もさることながら、まずは誤字脱字や言葉づかいについて厳しくチェックして本人にフィードバックせよ
10.マニュアル重視の会社にせよ(マニュアル通りなら高評価、マニュアル以外の方法で活躍しても低評価)
11.重要な個人的ノウハウは誰にも教えるなと部下に教えよ(教えると社内にライバルが増えるから)
12.言い争いや罵声、怒声が飛び交う組織にせよ
13.敵は外ではなく内にいると教えよ(社内に派閥やライバル関係を増やせ)
14.無力感をつくりだせ(一生懸命やろうが達成しようがみんな処遇は全員平等、時には無力な人ほど厚遇せよ)
15.組織メンバーの顔ぶれを固定し平均年齢を年々高めよ(なるべく若い新人を組織に入れないこと)

●いかがだろう。

<続きはあすに>