乾坤一擲
●ある経営者が「武沢さん、これはなかなかの名著です。ぜひご一読を」と教えてくれた本がある。
『美しく、強く、成長する国へ。ー私の「日本経済強靱化計画」ー』という。すでにお読みになった方もみえると思うが、自民党の高市早苗氏が著者だ。
●今回の自民党総裁候補者4人のうち3人がこの時期に本を出した。高市議員が9月14日、河野議員の『日本を前に進める』が8月26日、岸田文雄議員の『岸田ビジョン 分断から協調へ』が9月14日。著書の多い野田聖子議員は総裁選にあわせた出版はしていない。
●とりあえずその場で高市氏の本をダウンロードしながら、どこが面白かったのかを尋ねてみた。するとその経営者はこんな答えを返してくれた。
「わたしは他の総裁候補者の本も全部読みましたが、経済政策に一番つよく共感したのは高市さんの考えでした。いま日本は国難ですよ。
非常時ですよ。そんなときにプライマリーバランスを論じるような政治家に国のトップを任せることはできない。そういう点で高市議員は、スタンスが明快でわかりやすい。積極的に国を強くしようという意思が充分に伝わってきた。こういうリーダーにトップを務めてもらいたい」
経営者らしい視点といえよう。
●自民党総裁選は明日、9月29日の午後に行われる。テレビやネットでも中継されるので国民の多くが成り行きに注目するはずだ。
それにしても、直前になってもまだ混沌としており、誰が新総裁・新総理になるのか分からない。ここまで読めない総裁選はめずらしい。
現職の自民党議員ですら誰に投票するかを決めかねており、候補者の最終演説を聴いてから態度を決める議員が少なくないという。
●総裁選の最終演説は心に残る必要がある。
その段階ではもはや個別の政策を言及する必要はない。もっと先のビジョンであったり、その政治家の根底にある哲学や理念を語ってもらいたい。それが出来た政治家が勝利するはずだ。
●私は総裁選の決着も気になるが、誰がどんなスピーチをするのか、乾坤一擲(けんこんいってき)とはまさしくこの事であり、その一点に私は注目している。
★乾坤一擲
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