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ふんどしのレンタルビジネス

ふんどしのレンタルビジネス

●1985年の今日(9月14日)、当時の総務庁統計局が発表したデータに日本は騒然となった。
「日本人の10人に1人が高齢者(65歳以上)になった」と発表されたからだ。
日本は若い国、という印象が一変した瞬間だった。

●あれから36年経った。
いま、男性の4人に1人、女性の3.3人に1人が高齢者になった。
日本全体では28.1%が高齢者となった。
しかも、年々高齢化がすすんでいる。
こうしたいまの人口動態がコントロールされた状態にあるとはいえず、現状に対して国のリーダーがどのような考えや戦略をもちあわせているのかしっかりと伝えて欲しい。

●ところで、今日は人口問題とは別の話をしたい。
昔、江戸のまちでは男女比が100対55程度だった。
家康の号令によって突貫工事でつくられたまちだけに、全国各地から職人や労働者が移り住み、こうなった。
また、参勤交代で短期の江戸住まいをする男性が多かったことが江戸の男性偏重に拍車を掛けた。

●当然、吉原のような色街を公認することになる江戸幕府だが、男性諸氏は勝負下着をつけて吉原に出向いたという。
そのころから勝負下着という概念があったようで、ここぞという時の下着(ふんどし)はレンタルしたらしい。

●ふんどしに限らず布製品はとても高価で、六尺ふんどしのように布をたっぷりつかった製品は今の値段で6,000円以上した。
収入とのバランスで考えたら現在の1万円以上になる。
ふんどしは今の肌着感覚のように気軽に買えるものではなかったわけだ。

●そこで「損料屋」というレンタルビジネスが流行した。
高くて買えないものでもレンタルなら手が出せる。
だがレンタル料が意外にも高いのだ。
一回のふんどし貸し出しが60文というから1,500円になる。
4回借りたら買えてしまうわけだが、それでも借り手はたくさんいた。

●なぜ買わずに借りるのか。
特に独身の武士階級の人たちが、すすんで借りた。
そこには意外な理由が潜んでいたわけだが、正解は「武士にとって屈辱」だったからである。
ふんどしに限らず自分の衣類を自分で洗うという行為が武士道に反していた。

●いまとちがって洗濯機などないので、ひっそり自分で洗うということができなかった。
共同の井戸端で洗濯をするわけだが、多くの女性にまじって侍が自分のふんどしを洗濯する姿をみせるのはあるまじき行為だったわけだ。

●そんなことから「損料屋」が繁盛した。
現代社会でも「あるまじき行為」を見つけ出すことができれば、現代版の損料屋が成立するかもしれない。