その他

「網走番外地」と健さん

「網走番外地」と健さん

●昨日、2007年に撮った網走刑務所前での写真をご紹介したところ、どうみても退所記念の写真にみえたらしい。
Facebookで「おめでとうございます」「お似合いです」などのコメントをいただいたが、誤解のないようお願いしたい。

●8年間で18本も立てつづけに制作された映画『網走番外地』シリーズは東映を支える人気映画になった。
だが後半はマンネリに陥ってしまい、高倉健の高額ギャラの割には収入が乏しくついには金食い虫になっていた。
最後は社長の鶴の一声で打ち切りが決まった。
その後はギャラが比較的安い若手俳優にチャンスが回ることになる
当時の若手俳優、菅原文太、梅宮辰夫、千葉真一、松方弘樹、渡瀬恒彦、梶芽衣子らが新たな作品に起用されたわけだ。
こうして、次世代スターをフル活動させて東映はふたたび営業基盤を安定させた。

●高倉健こと小田 剛一(たけいち)は福岡県中間市出身。
身長180センチ、血液はB型。24歳で期待されて東映入りした。
デビュー当時、エキストラとして6ヶ月の修行経験が義務づけられていたが当時の健さんは演技がうまくなかった。
「他の人の邪魔になるから見学していてください」といわれている

●東映入りする前の健さんは演技経験ゼロ。
もともと俳優を目指していた訳でもなかったことから進路に迷いがあったはずだ。
初めて顔にドーランを塗り、化粧をした自分を鏡で見た時、情けなくて涙が止まらなかったという。

●ドーランといえば、映画監督の黒澤明も新聞求人をみて映画の世界に飛び込んだ。
だが、出社初日にドーランで顔を白くぬった人たちがたくさん歩いているのをみて気持ち悪いと思い、家族に「映画会社への就職はやめたい」と告げている。
しかしこのとき父に「辞めるのはいつでもできるからもうちょっとやってみたらどうだ」とたしなめられ、映画の世界に踏みとどまった

●健さんはデビュー当時、いろんな役柄をこなしている。
アクションや刑事物、戦争物や時代劇だけでなくミステリーや青春物、喜劇にも出演している。
しかしどれも当たらなかった。
片岡千恵蔵、中村錦之助、美空ひばりなど人気スターの助演として映画に出続けた。
彼特有の芝居の硬さと低音の声、表情の暗さなどもあって、美空ひばりも健さんと組むことを納得してはいなかった。

●俳優になって10年目、30代半ばで芽が出た。
任侠映画や網走番外地シリーズで自分のポジションを見つけたのだ。
それ以降は私生活でも無口で禁欲的で任侠道を貫く男というイメージを壊さないようにつとめた。
そのあたりは「フーテンの寅」の渥美清と相通ずるところがある。
ちなみに渥美清と高倉健は三つ違い、渥美が年上だ。
二人は山田洋次監督の『幸せの黄色いハンカチ』で共演している。

●山田監督は「渥美清さんと高倉健さんは、間違いなく、巡りあうことのできた二人の偉大な俳優でした」と明かしている。
出演する役柄を絞り込み、テレビにも出ず、映画スターとしての生き方を貫いた二人。
健さんの場合は酒を飲まず、コーヒーとチョコレートを愛し、人目に触れず筋力トレーニングを続けた。

●実は健さんは酒が飲める。
後輩の梅宮辰夫にそれを明かしているのだが、昔、健さんは酒を飲んでタクシー運転士を殴ってしまったことがある。
幸い無名のころで大騒ぎにならなかったが、有名になってから同じことをしたら一生を棒に振る。
だから外では決して飲まないと決めた。

●実は私も健さんのある秘密を知っている。
“秘密” とはいえないほどささやかなものだが、健さんが名古屋に来たときよく立ち寄る中華料理屋が伏見にある。
御園座やヒルトンホテルのすぐ近くのその中華料理店は芸能関係者御用達の店として有名だ。
健さんは酒を飲まないことになっているが、その店の20年物の老酒だけは美味しそうに何杯もおかわりしていた、というのが店の女主人の自慢話だった。
今となっては健さんも女主人もあの世にいってしまったため確かめようがないが、その店の20年物の老酒は健在だ。
メニュー名は「中国酒」という。

★健さんが好んだ老酒が飲める店 「香蘭園」(こうらんえん)
https://tabelog.com/aichi/A2301/A230102/23000282/


Warning: Trying to access array offset on value of type null in /home/xs470582/e-comon.jp/public_html/wp-content/plugins/amazonjs/amazonjs.php on line 637

Warning: Trying to access array offset on value of type null in /home/xs470582/e-comon.jp/public_html/wp-content/plugins/amazonjs/amazonjs.php on line 637